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「礼……、真ちゃんに逢ってきたら?あたし……パパに付き添ってるから。明日大阪に帰るし、今日逢ってきなよ。真ちゃんは礼にとって大切な人でしょう。話し合わずに別れるなんて、そんなのダメだよ」
「……空」
「お願いだよ。このままじゃ真ちゃんが可哀想だよ」
「空、大人になったわね。パパをお願い出来るかな。真君に逢って話してくるわ」
十五歳の空に諭され、真君に逢う決心をした。
本当は逢うことが怖かった。
真君に逢えば、別れが辛くなる。
でも、何も言わずに別れるなんて……
空のいう通り間違っている。
個室に移った本宮の容態は安定していた。
意思疎通が上手くできない本宮は、不自由な体で私達を見つめ、何かを伝えたいようだった。
「ごめんなさい、あなた。ちょっと出掛けてくるわね。心配しないで……。MILKYの様子を見てくるだけだから。すぐに戻るわ。今日は空が傍にいてくれるから安心ね」
「あー……あ……」
「離婚もしない。あなたの傍にいるから、安心して……」
私の言葉に本宮は涙を流した。
誰よりも強欲で、恐怖すら感じていた本宮が、今はとても小さくて弱い人間に見えた。
怯えた眼差しは、私と同じ……。
大丈夫だよ……。
私はあなたから離れたりはしない。
空もあなたから……
離れたりはしない。
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