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大阪に行き数日後、突然ロサンゼルスから清華さんが帰国した。空との再会は十年振りだった。
「母は十年前と変わらずとても綺麗だった。礼と容姿がとてもよく似ていて驚いた。母は臆することもなくあたしに抱きついた。そして『……逢いたかったよ。ごめんね。ごめんね』って、何度も謝った」
清華さんは空に抱きつき号泣したらしい。空はどうしていいのかわからず、突っ立ったままだったと語った。
十年も逢っていなかった実母。
空はずっと母親に捨てられたと思っていた。そう本宮に聞かされていたからだ。
「母は泣いていたけど、あたしは何の感情もわかなかった。涙もでなかった」
そんな空の前に、可愛い女の子が現れた。金髪でブルーの瞳の女の子、空の異父妹、marin《真凛》。八歳の少女だ。
空に異父妹がいると聞かされていなかった私は、その話に驚きを隠せない。当事者の空は唖然とし言葉も出なかったらしい。
だが、その愛らしさと人懐こさに、空の蟠りも次第に溶けていったようだ。
「母はあたしに『あなたを迎えに来たの。ロスに一緒に行きましょう。主人も同意してくれているから、心配はいらないわ』と、そう言ったんだ」
「ロサンゼルスに……。清華さんが空を引き取ると?パパはそのことを知ってるの?」
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