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 顔は浮腫み、未だに意識のない本宮。


「……パパ……空だよ」


 本宮の容態に、空は涙を浮かべた。

 憎しみ合っていても実の父子だ。心の奥底では、互いを求めている。


「パパともう一度話がしたい。だから……頑張って……」


 空は本宮の手を握った。


 その手のぬくもりに、忘れていた記憶が空の脳裏に甦ったに違いない。


「五歳の頃、パパはあたしに何度も……優しい眼差しを向けてくれた。それなのにあたしは、ママが恋しくて毎日泣いて困らせた……。パパを困らせたのはあたし……。パパを拒絶したのはあたし……。あたしがパパに……酷いことをしていたんだ」


 封印していた幼い日の記憶を思い出し、空は声を上げて泣いた。


 私はそんな空を優しく抱き締めた。


「……空、パパは死んだりしない。必ず元気になるから。そしたら三人でちゃんと話し合いましょう。……私がパパの傍にいるから、安心しなさい」


「……礼?」


「パパがどんな状態になっても、私がパパの傍にいる。私ね……決めたの。パパと離婚はしないわ」


「礼……いいの?真ちゃんは知ってるの?」


「まだ話してないわ。パパの容態が落ち着いたら、ちゃんと真君にも話すから」


「……礼」


 泣きじゃくる空の背中を、私は優しく擦った。


 ◇


 それから数日が経っても、本宮の容態に変化はなく一進一退を繰り返した。


 空は談話室で、大阪の祖母宅でロサンゼルス在住の実母と再会したことを話してくれた。

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