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お願い……
死なないで……。
空のためにも……
死なないで……。
――深夜から始まった緊急手術は八時間以上を要した。早朝本宮の手術は無事に終わり、私は医師から説明を聞く。
「手術は無事に終わり一命は取り留めましたが、後遺症が残ると思って下さい。二~三日は、脳浮腫、肺炎等の感染症の恐れもあります。後遺症としては半身不随、言語障害、一生寝たきりとなる可能性もあります」
「……半身不随、まさか……」
「先ずは二~三日が山だと思って下さい。暫くは麻酔で眠らせたまま治療を続けます。ICU《集中治療室》は完全看護ですが、容態が急変する可能性もあります。今夜は帰宅されますか?それとも仮眠室で過ごされますか?」
医師の言葉に、私は呆然とする……。
「仮眠室をお願いします」
「わかりました。何かあればすぐに知らせますので、ゆっくり休んで下さい」
「……先生、ありがとうございました。主人を助けて下さい。お願いします」
私は医師に深々と頭を下げ、ICUを出て携帯電話を取り出し、大阪の空に電話を掛けた。
『もしもし礼!元気!いつ日本に戻ったの?』
「空……」
明るい空の声に、少しだけ気持ちが救われた気がした。
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