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本宮は憤慨して、ソファーから立ち上がった。
その怒りは私に向けられた。
「俺と離婚したいだと!その上、俺から空を奪うつもりなのか!」
本宮の剣幕に、私は全身から血の気が引く。激しい恐怖心が私を襲った。
「……あなた、冷静に話し合いましょう。私は空を奪うなんて言ってないわ。親権は実父のあなたにあります。私は空を養育すると言ってるだけよ」
「冷静に話し合えだと!俺は空の父親だ!どれだけ空を愛しているか、お前にわかると言うのか!他人のお前に空は……空は……うっ」
本宮は苦痛に顔を歪め両手で頭を押さえると、そのまま床に倒れ込た。
「……救急車を……うぐっ」
本宮は床に嘔吐し、そのまま意識を失った。
「……あなた!……あなた、あなた」
本宮は目を見開いたまま私の呼びかけに反応しなかった。私は慌てて救急車を呼ぶ。携帯電話を持つ手がぶるぶると震えた。
「……あなた。しっかりして……あなた……」
救急車が到着するまで、本宮の手を握りずっと声をかけ続けた。
――十五分後、救急車が自宅に到着した。都内の大学附属病院に搬送された本宮は、緊急手術を受けることになった。
本宮の病名はくも膜下出血だった。
私は手術室の前で自分を責め震えていた。
私のせいだよ……。
私が……本宮をここまで追い込んでしまった。
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