【12】封印した記憶

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 仕事を終え、真君のアパートに立ち寄る予定だったが、弁護士から見せられた写真が気になり、アパートに立ち寄ることが出来なかった。


 真っ直ぐホテルに戻り、部屋から真君に電話を掛けた。


「真君、今日行くつもりだったけど止めるわ」


『どうかしたの?』


「今日、本宮の弁護士がMILKYに来たのよ」


『弁護士が?今からホテルに行くから、詳しい話を聞かせて』


「新宿プリシアホテルのラウンジで待ってるわ」


 塾の仕事を終えた真君はホテルのラウンジに来てくれた。そのまま私の部屋に入ることは、得策ではないと考え私達はラウンジで話をする。


 本宮の弁護士が私に話したことを、全て真君に伝え、二人の写真も撮られていたことを話す。


「礼さんはまだ弁護士に相談してないんだよね。早く弁護士を雇った方がいい。ご主人に殴られた直後の写真を撮っておけばよかったな。病院の診断書も書いてもらうべきだった。暴力を受けていた証拠になったのに……」


 離婚を望んでいるはずなのに、具体的な話になると気分が重くなる。本宮の弁護士の話を思い出したからだ。


「……そうね。離婚調停になったら、真君に迷惑をかけるわ。本宮は私達が不倫していると思っているのよ」


「迷惑?何を言ってるんだ。俺はいつでも証言するよ。それに……礼さんへの気持ちは変わらない」


「……真君。本宮は私が浮気をしたから、暴力を振るったと話しているの。それに……空の傷害事件も公にすると……」

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