【11】真実の愛
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東京駅で空の友達と別れ、礼さんと駅構内を歩く。二人で肩を並べて歩くのは初めてで、どこかぎこちない。
歩きながらも空に指摘されたことが、心の奥で疼いている。
――俺は……まだ……
礼さんに本当の気持ちを伝えていない。
空の言う通り……
俺は礼さんのことが好きだよ。
――礼さん……
俺は……君を守りたい。
本宮氏から……君を奪いたい。
奈央……ごめんな。
君がこんな状態なのに。
本当なら……
奈央と赤ちゃんを守らなければいけないのに。
俺は……
最低な男だ。
でも、礼さんのことが心配で……
放っておけない。
このまま家に帰したら、本宮氏がどんな手段に出るか胸騒ぎがしてならない。
空を見送ったあと、俺は礼さんと二人で車に乗り込む。
「礼さん、一人で大丈夫ですか。ご主人が帰宅したら、何をするかわからないよ。……もしよかったら……俺のところに来ませんか?」
「……えっ?」
「ずっと……そう思ってた。さっき空に言われて、俺、自分の気持ちに正直になろうと思ったんだ」
「真……君」
「礼さんの気持ちが知りたい」
「私は……本宮の妻だよ。空の母親なのよ」
「わかってる。でも俺は……礼さんが好きだ」
「……真君」
一生分の勇気を出して、俺は礼さんに想いを伝えた。
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