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 真は私を見て、驚き、戸惑い、ひどく困惑していた。それは当然のことだ。今さら、『あなたの子供ではない』と、見えすいた嘘はつかない。


 数ヶ月振りに会う真。

 心の中で何度も『私の方が真を愛してる』と叫びながら平静を装った。


 真は『子供を認知する』と言ってくれた。


 ――『結婚』ではなく『認知』。

 真は結婚を望んでくれると思ったが、そうではなく『認知』と言う言葉は事務的に聞こえ正直ショックだった。


 私は心のどこかで、真が『結婚しよう』と言ってくれると思っていたから。


 ――誤算だった……。


 真の目に涙が浮かぶ。


 泣かないでよ、真。


 私より大人なんだから、泣かないで。


 あなたが私のところに戻ってくれさえすれば、私はそれだけでいい。


 ただ、あなたを愛していた。

 今も、あなたを愛している。


 これ以上一緒にいると、自分の罪が露見してしまう。その前に、ここから消えるね。


 ――『真……ありがとう』


 本当はね……

 二人で赤ちゃんを育てたかった。


 でも……それは叶わないんだよね。


 私は真に背中を向ける。


『産まれたら知らせて欲しい……』


 真は最後にそう言ってくれた。


 その一言が、心の暗闇に一筋の光明を差す。


 正門前でタクシーに乗車し、小さくなっていく真を見つめた。呆然と立ち竦む真の姿が見えなくなった。


 真が私の視界から消え、初めて……笑みがこぼれ落ちた。


 私の選択は……

 正しかったんだ。


『少しだけさようなら……真……。必ず連絡するからね……』


 お腹に触れると、赤ちゃんが微かに動いた。


 パパは必ずあなたを抱き締めてくれる。

 だから、安心して生まれておいで。

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