【8】伝わらない想い
奈央side
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私は真のアパートで今日も一人。真は『家庭教師の日は友達と自由に遊んでいい』と言うけど、それも空しいだけ。
テレビを観ながら、バイト先で購入したコンビニ弁当を食べる。真の居ない日は一人分の食事を作る気にはならず、友達と外食しない日はコンビニかスーパーの値引き弁当だ。
もう一ヶ月以上、真は本宮さんのお宅で家庭教師のあと夕飯をご馳走になった。
だから私の心は、一日おきに一人ぼっち。その寂しい心は何かをしたところで埋まることはない。
以前、真に自分の弱さを見せて困らせ、真に気を使わせてしまった。気を使われる生活はとても息苦しい。
真との関係は周囲からは良好に見えているのだろう。でも、今までとは違う。
真は私と一緒にいても、心はどこか違う場所にある……。
真は誰のことを考えているの?
誰のことを想っているの?
あなたは……今、誰を抱いているの?
真に問い質したいのに、私は恐くて聞くことができない。
それでも真に抱かれることが、私と真を繋ぐ唯一のものだと思っていた。
だけど……最近は……
そこに愛はないと感じる。
もう限界かもしれないね。
コンビニのお弁当は温めることができるのに、私達の気持ちは冷たいまま。
一人で過ごす寂しさを、この先もずっと感じながら、時計の針を見つめているならば、一緒に暮らさない方がいい。
お弁当を箸でつつきながら、涙が溢れてきた。ご飯を口に運んでも、口の中に溜まり飲み込めない。
――悔しいよ……。
真……。
悔しいよ……。
もう……
この場所に、私は必要ないよね……。
堪えていた寂しさが、一気に溢れだし嗚咽が漏れた……。
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