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「何だよ空?なんか突っかかるな?俺の家庭教師に不満があるのか?それは……否定できないけど。俺の指導が物足りないなら、進学塾で勉強しないか?教育のプロが空の学力に合わせた指導をしてくれるはずだ」


「べつにそんなこと言ってないだろ。今はまだ進学塾には行かない。今通っても真ちゃんはいないから。行っても意味ないんだよね」


「そうね。ルミナ聖心女学院大学附属高校の内部試験さえ合格すればいいのよ。あと数ヶ月だし、このまま家庭教師をお願いできない?」


「俺はいいですが、空の学力は国立の大学附属高校を受験できるくらいのトップレベルです。学校では真面目に定期テストを受けていなかっただけ。真面目に受けていたら、学年トップになっていても不思議はない。まだ進学塾の講師にもなってない俺には役不足ですよ」


「そんなこと、どうだっていいんだよ。黙って食べてろ」


 空は一人で憤慨している。

 真君に恋人がいたことがよほどショックだったようだ。


 自分で聞いておきながら、思春期の少女の気持ちはよくわからない。


 でも……

 私も恋人の存在は気になった。


「彼女とはもう長いの?」


「大学に入ってすぐだから、長いですね」


「そう、その人と将来を考えてるの?」


「いや、まだ彼女が若いですから。俺の経済力もないし、すぐに結婚とか考えてないですよ」


「そうよね。まだ彼女は二十二歳だものね。まだ早いわね」


 空は少し安心したように、真君を見つめた。


 私は食事をしながら、二人の表情を交互に見つめた。

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