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「約束だから、恋の相談にのるよ」
「よかった。あたしね、彼氏がいたんだけど」
「は?彼氏?中学生なのに?」
「中学生をバカにしてんの?中学生だって彼氏くらいいるよ。ていうか、あまり本気じゃないんだけど」
「本気じゃないなら、彼氏とは言わないだろ」
「もう別れようって言ったら、別れたら死ぬって脅されて」
「失恋したら死ぬ?大袈裟だな。空は……その彼氏と……その……」
「……あっ!?真ちゃん、もしかしてエロい想像した?言っときますけど、あたしは未経験だからね。前に言ったことは全部噓なんだから。これだから、おじさんはヤだな」
「誰がおじさんだよ。俺はまだ大学生なんだよ」
「三十歳で大学生してるなんて、自慢にならないよ」
確かにそうだけど。
空が恋愛経験あると想像した自分が情けない。
「全部、嘘かよ。大人をからかうな」
「ごめん。一回だけキスした」
キスか……。
それでも俺には衝撃的だ。
目の前に座っている空が……
キスだなんて。
「その彼氏は中学生か?高校生か?」
「二十三歳のフリーター」
「は?フリーター?嘘だろ?大人と付き合っていたのか。二十三歳のくせに中学生に手を出すとは許せないな。そいつ、空の歳を知ってるのか?中学生だと知った上での交際だなんて犯罪だよ。警察に通報してやる」
「あたし、彼に二十歳の女子大生って言ってたから」
俺は衝撃発言に唖然とする。確かにメイクをすれば、大人びて見える。実際に俺も初対面の時に、二十歳過ぎの成人女性だと思ったから。
でも年齢を偽り交際するとは、その男を責めることはできない。
なぜなら、俺だって騙されかねないからだ。
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