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「そろそろ勉強するか。これはかなり難易度が高いから。所要時間は六十分だ」


 俺は自信満々に、昨日問題集から抜粋して作成した数学の実力テストを空に渡す。


「わがわざ自分で作ったの?真ちゃん暇だね。ねぇ、真ちゃん。テストやったらさ、もう少し相談にのってよ」


「相談?友達の話か?それとも学校の話か?いいよ、このテストが終わったらな。ニ時間かけて作成したんだから。それで相談内容は何だ?」


 空は俺をチラッと見つめた。


「……恋の」


「は?こ、恋?……恋か。わかった。俺は恋のスペシャリストだ。中学生の恋の悩みだろ。任せろ」


 俺が苦労して作成した難問だらけの数学のテストを、空は意図も簡単にスラスラと解き始めた。


 実力不足は俺の方だな。


 僅か三十分でテストをやり終えた空は、俺を見上げてニヤリと笑った。余裕の笑みだ。

 たまには『わかりません』とか、『解けません』とか、俺に泣きつけば可愛げがあるのに。


「真ちゃん、どうせ百点なんだから、答合わせしなくていいよ。時間のムダだし」


「何いってんだか。これは難易度の高い問題集から特に難しい難問を集めたんだ。そう簡単に百点取られてたまるか」


 結局、百点だし。

 全問正解するなんて、空は天才かも。


「満点……だ」


「ほらね。チョロい問題ばっかやらせるからだよ」


「これさ、国立高校の受験過去問なんだけどな」


「ふーん。真ちゃん、そんなことどうでもいいから。あたしね、今、困ってるんだ。家庭教師なら助けてくれるよね?」


 空が俺にグイッと顔を近付けた。間近で見ると顔立ちは整いなかなかの美少女だ。

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