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「お父さんが連行され、真衣のお姉さんがあたし達に声を掛けてくれた。真衣のお姉さんは、昨日の夜酒に酔った父親が、真衣に暴力を振るったと、あたし達に話してくれた。父親の暴力は日常的で、再婚するまでは兄や姉が暴力を受けていたらしい。お姉さんは父親の暴力が真衣に移ったことを知っていたけど、恐くて止めることが出来なかったと涙ながらに話した」
「警察に通報したのは、真衣ちゃんのお姉さんだったのか」
「お姉さんは『父の過ちを認めなければ、真衣の死が無駄になる』って……」
「お姉さんは勇気を出して通報したんだね。父親の罪を認め、暴力を止めることが出来なかった自分を責めていたんだろう。空も春希ちゃんも鈴ちゃんも自分を責めなくていいんだよ」
「……真ちゃん。あたし達が真衣を殺した。あたしが……真衣を殺した。あたしが……」
俺は泣き崩れた空を抱き止めた。
自分が何を言っても、今の空には無力な気がして、震える体を抱き締めてやることしか出来なかった。
自分の行動を責め、友達の死を受け入れられないでいる空。その深い悲しみを俺はどう受け止めてやればいいのか……。
少し開いたドアの向こう側に礼さんが立っているのが見えた。礼さんは涙を溢しながら空の話を聞いていた。
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