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 バイクを飛ばし本宮の家に着くと、門の前に礼さんが立っていた。その様子は遠目から見ても落ち着きはない。


 今日の礼さんは慌ててMILKYから帰宅したのか、髪をアップにしていて、グレーのスーツ姿のままだった。


 俺はバイクから降りヘルメットを外す。


「こんばんは。空さんは……」


「真君ごめんね。私がいくら声を掛けても、ドアをノックしてもダメなのよ。内鍵を掛けて開けてくれないの」


「亡くなった友達は……」


平加真衣ひらかまいさんのお父さんが警察で任意の事情聴取を受けてるらしいの。警察官がその子の自宅に到着した時、空は偶然居合わせたみたいで……」


 任意の事情聴取って、事件性があるってことなのか?


「空さんが偶然居合わせた?何があったか知らないけど、友達が亡くなりその父親が警察官に連行されたなら、きっとショックだったはず」


「そうね。真君、家に上がって」


「はい」


 俺達は急いで家の中に入る。階段を見上げると二階はシーンと静まりかえっていた。


「俺が一人で行きます。礼さんに話せないこともあるでしょうから」


「そうね……。お願いします」


 二階に上がると、空の部屋はとても静かで物音ひとつしなかった。


 部屋のドアをノックしても、何の応答もない。


「空、俺だよ。西本だ。ドアを開けてくれ」


 何度か声を掛け、ドアをノックするとガチャンと内鍵を外す音がした。


「入るよ、いいね」


 俺はドアノブに手を掛ける。部屋の中は照明も点けず、真っ暗なまま。窓から入る街の灯りが室内を朧気に照らす。


 室内を見渡すと、空は部屋の隅で膝を抱えて蹲くまっていた。


「空、そこにいたのか。電気をつけるよ」


 俺の言葉に空がゆっくりと顔を上げた。


「……真ちゃん、どうして?今日は家庭教師の日じゃないよ……」

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