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電気のスイッチを入れると、一瞬にして室内は明るくなった。明るさを取り戻した室内で、空は顔を見られたくないのか、再び膝を抱えて顔を伏せた。
「空、礼さんから事情は聞いた。大丈夫か?」
「……だい……じょうぶな……わけない」
空の声は掠れ、微かに震えていた。
「そうだよな。大丈夫なわけ……ないよな。友達が亡くなって、お父さんが警察官に連行された場所に居合わせたんだ。辛かっただろう」
「……ぅっ……ぅっ……。真衣は……何もしてないのに何で……何で……」
「空……」
「真衣のお父さんは医者なんだよ。人の命を救うのが医者の仕事なのに。どうして……真衣を……。酷いよ……ひどいよ……」
空の前にしゃがみ込み、泣きじゃくる空の体を両手で抱き締めた。
「だから大人は嫌いなんだ……。みんな一緒だよ。みんな……嫌いだよ……」
俺は、泣いている空の背中を優しく擦る。
「空、俺に話してごらん。全部吐き出したら、気持ちが楽になるから」
空は俺の腕の中で、泣きながら話し始めた。
「あたし……あたし……。
「昨日まで?」
「真ちゃんが友達に心開けって言ったから……、あたし……真衣と……」
「そうか、真衣ちゃんと友達になろうとしたのか?」
「………うん」
「空が心を開いて、きっと……真衣ちゃんも嬉しかったと思うよ」
空は泣きながら、真衣との経緯を語りはじめた。
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