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「ねぇ真。電話誰から?今日の夕飯は何がいい?今日はバイトないからゆっくりできるんだよね?冷凍餃子でいいかな?それならすぐにできるよ」


 奈央がキッチンから、俺に声を掛けた。


「奈央、ごめん。今から本宮さんの家に行くことになったんだ」


「本宮さん?今日は家庭教師の日じゃないよ。どうして?日にち変更したの?」


「ごめん。急ぐから、話は帰ってからするよ。夕飯は一人で先に食べてて。俺はたぶん遅くなる」


「真……。わかった。車に気をつけて、行ってらっしゃい」


 玄関先まで送ってくれた奈央に、俺はキスすることも忘れていた。


 俺の頭の中は、空と礼さんのことでいっぱいで、その時奈央がどれほど寂しい顔をしていたかなんて、気持ちを思いやる余裕もなかった。


 バイクの鍵を掴んだままアパートの階段を駆け降りる。バイクに飛び乗りヘルメットを被り、エンジンを掛けた。


 ――友達が亡くなった……。

 思春期でなくとも、ショックな出来事だ。


 死因が病死でも事故死でもないなら何故……?


 十五歳の空がその現実に、向き合えるのか?


 バイクのハンドルを握る手に、自然と力が入った。


 やっと……最近……

 空が打ち解けてきたのに。


 心を閉ざして部屋に閉じ篭もるなんて。

 どうして……こんなことに……。

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