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――それから、週三日、俺は本宮の家へ家庭教師に行った。何度訪れてもケバいメイクの空と素っぴんの礼さん。
日にちが経つにつれ、空の様子に少しずつ変化が現れた。
「こんばんは、宿題やったのか?」
「宿題?やるわけないでしょ」
「何だよ。やってないのか。難しくて解けなかったのか?俺に見せてみろ」
「嘘だよ。真ちゃんの出す宿題なんて、超簡単過ぎて五分もあれば十分だ。ほら、サッサと採点してよ。どーせ、百点なんだから」
憎まれ口を叩きながら、空が問題集を差し出す。俺が出す宿題を、文句言いながらも必ずやっている。
しかも毎回百点。ていうか、学力は平均よりも優っているから、家庭教師はいらない。
「空、そのメイクそろそろやめた方がいいよ。綺麗な肌が、メイクで荒れてしまう」
「余計なお世話だよ。あたしの肌はいつだってピチピチなんだから。三十過ぎた真ちゃんの肌と一緒にしないで」
「はいはい。三十歳過ぎてて悪かったな。ルミナ聖心女学院大学附属中学校はお嬢様学校なのに、そのメイクでよく先生に注意されないな?」
「先生は何も言えないよ。親が高額な寄付金をばらまいてるからね」
「寄付金か。結局、親の財力と権力にふんぞり返ってるだけだろ。親の権力がなければ、空はとっくに停学か退学になってる」
「ハン?何が言いたいんだよっ」
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