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「義母と二人きりで、しんどくないか?」
空は驚いたように俺を見つめた。
「しんどいに決まってるだろ。初めは追い出すつもりだったんだよね。でもね、礼はああ見えていいやつでさ。追い出せないんだよ。ほら、いつもあの調子だから。拍子抜けするっていうか、義母という感覚じゃないんだよね」
「確かにMILKYにいる時の社長とは別人だよな」
「でしょう?パパは、礼の凛とした美貌と才能に一目惚れして結婚した。でも実際の礼は家庭ではあの有り様。スウェット着て素っぴんで、家の中の礼は才色兼備どころか、色気ゼロのダサい女。パパの再婚は誤算だった。確に、アレじゃ詐欺だよね。明らかに別人だから」
確かに……別人だよ。
でも、誰だって家庭では素のままでありたいと思って当然だ。愛した女性が理想と違っていたとしても、全て受け入れるのが男ってものだろう。
「俺は冷酷な美人社長より、家庭にいる社長の方が人間味があって好きだな。君みたいな、キャバ嬢もどきよりマシだよ」
「キャバ嬢もどき!?もどきって何だよ」
「そんなケバいメイクや乱暴な言葉遣いじゃ、キャバ嬢にもなれないってことだよ。大体さ、まだ十五歳なんだから、十五歳らしくしたらどうだ?歳をとりたくなくても、人間は毎年一歳ずつ確実に歳をとる生き物なんだからさ。君も三十歳なんてすぐだよ」
「……う、煩い」
プーッとフグみたいに頬を膨らませて俺を睨む空は、メイクをしていても中身はやはり十五歳の中学生だ。
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