30
「次に来る時は、もっとハイレベルな問題集を持ってくるよ」
「また家に来る気?来て何をするの?中学校の勉強なんてやらなくても楽勝だよ」
「だったらどうして最近成績が落ちたんだよ?」
「成績?あんなのどうでもよくない?数字が並んでるだけじゃない。ルミナ聖心女学院大学附属は中高一貫校、附属大学もある。遊んでいても大学まで進学出来るし、必死になるだけバカバカしい」
「君は勉強出来るのに、わざと悪い成績をとってるのか?」
「さぁね」
天井を見つめながら、空が椅子を左右に揺らす。
コイツ、わざと悪い成績をとってるのか?
それは……何のために?
――もしかして、親の気を引きたいから?
十五歳の空。大人びたその容姿と攻撃的な態度。
大人に向ける空の眼差しは、鋭い眼光の奥に表面には出さない影の部分がある。
大人に反抗し悪態をつく。でもそれは空なりのSOSなのかもしれない。
誰かに必要とされたい……。
誰かに話を聞いてもらいたい……。
誰かに愛されたい……。
体は大人に近づいていても、心は子供のまま……。
空の心は寂しくて、悲鳴をあげているに違いない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます