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「次に来る時は、もっとハイレベルな問題集を持ってくるよ」


「また家に来る気?来て何をするの?中学校の勉強なんてやらなくても楽勝だよ」


「だったらどうして最近成績が落ちたんだよ?」


「成績?あんなのどうでもよくない?数字が並んでるだけじゃない。ルミナ聖心女学院大学附属は中高一貫校、附属大学もある。遊んでいても大学まで進学出来るし、必死になるだけバカバカしい」


「君は勉強出来るのに、わざと悪い成績をとってるのか?」


「さぁね」


 天井を見つめながら、空が椅子を左右に揺らす。


 コイツ、わざと悪い成績をとってるのか?


 それは……何のために?


 ――もしかして、親の気を引きたいから?


 十五歳の空。大人びたその容姿と攻撃的な態度。


 大人に向ける空の眼差しは、鋭い眼光の奥に表面には出さない影の部分がある。


 大人に反抗し悪態をつく。でもそれは空なりのSOSなのかもしれない。


 誰かに必要とされたい……。


 誰かに話を聞いてもらいたい……。


 誰かに愛されたい……。


 体は大人に近づいていても、心は子供のまま……。


 空の心は寂しくて、悲鳴をあげているに違いない。

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