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「コホン、問題集を買ってきたから、今から実力テストをやる」
「は??意味わかんない。何でいきなりテストなんだよ?バカじゃない」
「だからその言葉使いを何とかしろ。セレブなお嬢様なら、お嬢様らしくしろよな。社長にちゃんと教育されてるだろう」
生意気な空は、俺をキッと睨んだ。
本当に生意気だ。
金持ちのお嬢様のイメージが、俺の頭の中でガラガラと音をたてて崩れる。
お嬢様と言うよりただのギャル。この格好のまま新宿を彷徨いていたら、キャバ嬢にまちがられてもしかたがない。
勉強よりも、この根性を叩き直す必要があるようだ。
「好きで本宮の家に生まれてきたわけじゃないよ。何が楽しいんだよ、こんな家。金さえあれば幸せだと思ってんの?それは貧乏人の考え方だよ」
貧乏人か。確かに俺の家はセレブではない。父親は中小企業のサラリーマンで、母親はスーパーのパート勤務だ。
私立高校三年生の弟の学費と学習塾の月謝、大学進学費用のために生活費を切り詰めて働いている。世間でいう一般家庭だ。
父親に何百億という資産があり、この豪邸で何不自由なく暮らせている空と俺とでは、住む世界も価値観も違う。
だけど、ほんの一瞬見せた空の表情は、全て満たされている幸せな表情とはかけ離れていた。
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