【3】心の闇
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空は二階の部屋に俺を案内した。二階は全部で五室。階段を上がってすぐの部屋が空の部屋だった。
南向きの明るい部屋だ。広さは十二畳。広いバルコニーもある。室内はダークブラウンのフローリングの床に淡いブルーの壁紙。シングルベッドと机、ソファーとテレビとドレッサー。
一番重要な教科書は、部屋の隅に山積みされ放置してある。
「ずいぶん広い部屋だな。俺のアパートより広い」
「広い?どこが?窮屈で嫌になるよ」
「贅沢だな。机の椅子に座って。教科書を広げて今授業でやってるところを教えてくれ」
「まじで、勉強する気?」
「当たり前だろ。俺は家庭教師だ。早く教科書を出して」
「めんどくさ」
「女子なんだから、その言葉使いを何とかしろ」
「うざっ」
空は溜息をつきながら、教科書を取る。
「で?何処まで進んでる?」
「最後まで」
「は??」
「だから、最後まで。彼氏いるんだから当たり前でしょ?真ちゃん、イマドキの中学生をみくびらないで。それとも真ちゃんはまだ未経験とか?」
最後までって……?
性的なことか?
噓だろ。
この目は、俺をからかって遊んでる目だ。
「ふざけるな。勉強の話だ」
「なんだそうなの?彼氏とどこまで進んでるのか聞きたいのかと思った」
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