22

 社長の容姿を目の当たりにして、俺はその場で固まってしまった。


 そんな俺を見て、さっきの女性がケラケラと笑った。


「あはは、誰でも驚くよね。スッピンにスウェット姿の礼を見たら、誰だかわかんないよね」


「そう?私は仕事の時はメイクしてるけど、家では面倒だからしないのよ。まず帰宅したら、一番先にメイクを落とす。体にピッタリフィットしたスーツも窮屈で本当は嫌い。だからゆったりしたスウェットスーツが好き。このままランニングだってできるしね。西本さん、そんなに変わらないでしょう」


「ええ……まあ……」


 ていうか、本音で言わせてもらえるなら、全然違うに決まってる。本当の姿を知れば『美人社長』の見出しで雑誌には掲載されないよ。


「それより、西本さん座って下さい。娘を紹介しますから」


「はい」


 いよいよ生徒ど対面だ。

 姉とは対照的な、可愛らしいお嬢様でありますように。


 俺はソファーに腰を落とす。さっきの女性はミニスカートで長い脚を組んだまま、俺をジッと見据えている。


「あの……社長、娘さんは?」


「はっ?娘ならいるじゃん」


 さっきの女性が、テカッている唇を尖らせた。


『いるじゃん』って?どこに……!?


 俺は広い室内をキョロキョロと見渡す。

 部屋の隅にいるのは、美術品の石像だ。

 裸体の石像には胸があるが、まさかこの石像が妹だというのか。冗談にしてはキツすぎる。


「ていうか、それってわざとトボケてんの?あんたのにあんたのがいるでしょ」


「……はい?」


 俺はマジマジと女性を見つめる。


 まさか……この女性が?


 どう見ても成人女性にしか見えない。

 この女性が十五歳の中学生だなんて、そんなはずはナイナイ。

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