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社長の容姿を目の当たりにして、俺はその場で固まってしまった。
そんな俺を見て、さっきの女性がケラケラと笑った。
「あはは、誰でも驚くよね。スッピンにスウェット姿の礼を見たら、誰だかわかんないよね」
「そう?私は仕事の時はメイクしてるけど、家では面倒だからしないのよ。まず帰宅したら、一番先にメイクを落とす。体にピッタリフィットしたスーツも窮屈で本当は嫌い。だからゆったりしたスウェットスーツが好き。このままランニングだってできるしね。西本さん、そんなに変わらないでしょう」
「ええ……まあ……」
ていうか、本音で言わせてもらえるなら、全然違うに決まってる。本当の姿を知れば『美人社長』の見出しで雑誌には掲載されないよ。
「それより、西本さん座って下さい。娘を紹介しますから」
「はい」
いよいよ生徒ど対面だ。
姉とは対照的な、可愛らしいお嬢様でありますように。
俺はソファーに腰を落とす。さっきの女性はミニスカートで長い脚を組んだまま、俺をジッと見据えている。
「あの……社長、娘さんは?」
「はっ?娘ならいるじゃん」
さっきの女性が、テカッている唇を尖らせた。
『いるじゃん』って?どこに……!?
俺は広い室内をキョロキョロと見渡す。
部屋の隅にいるのは、美術品の石像だ。
裸体の石像には胸があるが、まさかこの石像が妹だというのか。冗談にしてはキツすぎる。
「ていうか、それってわざとトボケてんの?あんたの目の前にあんたの生徒がいるでしょ」
「……はい?」
俺はマジマジと女性を見つめる。
まさか……この女性が?
どう見ても成人女性にしか見えない。
この女性が十五歳の中学生だなんて、そんなはずはナイナイ。
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