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「あんた誰?」
綺麗な顔からは想像出来ないほど、冷たい口調で乱暴な言葉が飛び出す。
「はじめまして、家庭教師の西本です。お姉さんですか?中学生の妹さんはご在宅ですか?それと……社長……。いや、お母様はいらっしゃいますか?」
彼女は俺をジーッと見つめた。その大きな瞳と艶々した唇にドギマギしていると、彼女は顔を歪め言葉を吐き捨てた。
「家庭教師?……うざっ」
は?……うざっ!?
「聞いてないよ、帰れ!」
彼女はくるりと背を向け室内に入る。俺は玄関先に放置されたまま、彼女の美しい外見とヤンキーみたいな口調のギャップに唖然としたまま、彼女の後ろ姿を見つめた。
「あら、ごめんなさい。西本さん、上がっていいわよ」
室内から、社長の声がした。
MILKYで接見した時より、声は明るい感じがした。
「では、お邪魔します」
俺はキョロキョロと周囲を見渡し、玄関フロアに置かれた白いスリッパを履く。
正面の壁は煉瓦造りで、数千万円はするであろう有名画家の絵画が、セレブを主張するようにドカッと飾られていた。
そしてその横には、一メートルはあるであろう有田焼の壺に、豪華な花が生けてあった。
天井にはシャンデリア。
まるで高級ホテルのエントランスだな。
家政婦さんがいてもおかしくない豪邸なのに、室内はシーンと静まり返り、家族以外が住んでいる様子は感じられなかった。
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