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「そうそう、西本さんのバイト先の女社長、また雑誌に載ってましたね。まじで色っぽいよな。魅惑的だし妖艶だし、魔性の女みたいで。あの目、ゾクゾクする。三十一歳には見えないよ。俺、あの社長となら付き合ってもいい。西本さん、奈央がダメなら、社長を紹介してくれませんか?」


「はぁ?一生言ってろ」


 高木のバカさ加減に、これ以上話す気にもなれず、俺達はゼミの会場に入った。


 学科の単位も殆ど取得し、毎日大学に通う必要もない俺達は、久々に友人に会い夕方まで大学のカフェで楽しい時を過ごす。


 午後六時から家庭教師のバイトがある俺は、友人と別れ一旦奈央をアパートまで送り届けた。


「奈央、俺、何着て行けばいい?」


「普通の格好でいいと思うけど」


「初日だし、ジーンズじゃない方がいいと思うんだ。大学生とはいえ三十過ぎた大人だし、中学生にナメられたくない。セレブなお嬢様のくせに、生意気らしいんだよ」


「生意気だからって、所詮中学生だよ。相手は十五歳でしょう?教育実習で高校生を教えたことに比べたら、全然可愛いよ」


 確かに教育実習で教壇に立った時、俺は年齢のことで高校生に散々からかわれた。教育実習を終える頃には、学生と多少は親しくはなれたが、その時思春期の男女を教えることの難しさを痛感した。


「そうだよな。でも社長の自宅だし、今日はスーツにするよ。グレーのスーツ、クリーニングから返ってる?」


 奈央は直ぐさまクローゼットからグレーのスーツを取り出してくれた。スーツに合わせてシャツも用意してくれた。

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