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「知子か……?昨日さ、ちょっと喧嘩しちゃってさ」
「またかよ」
「雄一、また浮気したの!?」
奈央が高木を睨む。
奈央に睨まれ、高木が申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。
「……ちょこっとだけな」
「浮気にちょこっとだけなんてないよ。知子の気持ちわかってるの?信じらんない」
高木は女癖が悪い。彼女がいるくせに他の女子と遊びに行ったり平気でするから始末に終えない。しかも殆どが同じ大学の女子学生だ。
「雄一、そのうち誰かに訴えられてもしらないからね」
奈央が高木をチクリと脅す。
高木は両手を合わせ、奈央に謝罪する。
「……奈央、ごめん。そんな怖いこと言うなよ。裁判とか勘弁だからな。ていうか、同意の上での行為なんだから、訴えられないだろう」
何が同意の上だ。
甘い言葉で誘惑して押し倒したに違いない。
「私に謝ってもしかたがないでしょう。謝るなら知子に謝りなさい。知子と付き合ってるくせに浮気したんだから。私が知子だったら、浮気した時点でもうサヨナラだよ。知子に振られないのが不思議なくらいだよ」
「あいつは俺に惚れてるから別れられないんだよ。他の女子はどんなに頑張っても俺の一番にはなれない。だって一番は決まってるから」
「何を自信満々に語ってるの?自惚れないで。その内、知子に捨てられるんだからね」
「知子は俺にベタボレだから、逆はあってもそれはナイな」
自信満々な高木、お前の一番は奈央だといいたいんだろう。残念ながら、奈央には伝わらないよ。奈央の一番は俺なんだから。
俺と奈央は呆れて顔を見合わせる。
「話になんないね」
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