第4話
ハゲの人への配慮と気遣いのことを
ヅラケットと呼び、今アメリカでは
略してKTB運動が盛んになり、日本でも
その余波で頭皮が火傷している人には帽子を、
まぁ簡単に言うとヅラを被る方への紳士的な対応をするための知識とマナーを称して
ヅラケットと呼ぶらしい。
その中でも特に重要なのが、
【人のヅラを見ても笑わない】
このマナーを守らなければ学校という
1つの社会での死を意味するらしい。
「普段から駿はクールだから特に心配はないけどな」
「油断したあかんで拓真、俺たちが見てたのはヅラの駿や、ヅラに免疫がない駿にとってはこれが1番しんどいマナーなはずや」
たしかに今までは、この面妖な世界への
不安や戸惑いが大きく笑う暇が無かった。
だが今はもう世界の仕組みを理解してしまった。これは駿にとっては重い障害だ。
「恐らく注意人物の3人、ヅラ3とは
今日会うからな耐えれるようにしとかな」
「ヅラ3ってなんだよ」
「いま命名してん、そっちの方が分かりやすいやろ」
ヅラケットとかヅラチョイはこいつが
適当につけた名前じゃないかと疑いたくなるほど、和正はいけしゃあしゃあと喋る。
「あいつらは普通にヅラをつけることを飽きているんだよ」
ヅラに飽きるって何?
ちょっと何言ってるか俺には理解できない。
「たしかにな、昔の流行りのちょいズレ親父とかでも独自のアレンジ加えてたからな、
侮れへん奴らやで」
ちょいヅレ親父って何?
少しヅラがズレてるの?
何のためにズラすの?
戸惑う俺を放置して2人は話を続けている。
「そして、そのうちの1人は100%校門の前にいる」
「その通りや」
普段からふざけてる2人が真剣な話している姿はソーシャルゲームや遊びの時だけだが
今は不思議と集中していた。
「何で分かるんだ? 」
「今日が始業式やからや」
「あいつが校門前でうっとうしく挨拶を
求めてくるんだよ」
校門前、挨拶、うっとうしい、
この3つのキーワードから導き出される
答えは1人。
「あの体育教師か? 」
そう言うと2人は示し合わせたように
こちらを向いて小さく頷いた。
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