第2話 手を広げると…

前話でお話しした、魔法の言葉「だっこ」、実はこの言葉以外にもリリーが危険を察知して逃げるものがあるんです。


それは、手のひらを上にして両手を前にするポーズ。「ハグしよ!」のジェスチャーと表現したらわかりやすいですかね。これをリリーに向けてするとまたまた一目散に逃げるようになってしまいました。


きっと私が、「だっこ!」の声と一緒にこのポーズを取っていたのでしょうね。いい加減忘れてくれよ…お前の記憶力どうなってんだよ…!



「だっこ」と言わなくても、両手を前に広げるだけで、ギョッとした顔をしたと思ったら、そのままずさささっっ!と後ずさり。顔はこちらに向けたままです。そこから私が一歩でも近づくようものなら一目散にケージの中へ。なんだかドロケイをやってる気分です。


ケージに入って安心したリリーの顔が私には「抱っこできるもんならしてみなさいよ」と勝ち誇った顔に見え、負けず嫌いの性分が黙ってられなくなりました。

そう、ルールなど完全無視、そもそも弱肉強食の野生の世界にルールはないのです。と、完全に大人気ない(人間ない?)思考回路に陥った私はケージの中のリリーに手を伸ばします。流石にテリトリーまで侵され怒ったのでしょうか。「ゔぅーー」と低くリリーは唸ります。私もこうなったら意地でも抱っこをしたくなりました。これがさらに嫌われる結果になるのにも気づかず、リリーの脇に手を入れ持ち上げようとします。すると低く唸っていたのが今度は「あ゛ぁーゔぅーー」と牙を見せて威嚇されました。威嚇・・・。


ここまでされて、諦めました。


飼い主なのに本気で嫌がられてる・・・抱っこしたいだけなのに・・・とガチ目な「NO」を突きつけられて初めて身を引く飼い主なのでした。書いてて本当にしつこいな私。そりゃ嫌われるわ。


その後もしばらくリリーは私を警戒し続け、動向を観察し、側によるとさっと身のこなし爽やかに遠ざかります。でもこういうときに限って素知らぬ顔で母親の膝に乗ってたりするんだよなぁ。あ、ちなみに母には積極的に抱っこされるリリーです。家族内のリリー格付けもまたご紹介しますね。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る