恋。超短編集
由良
第1話 君のいない朝。
この朝の温度を忘れたくなくて
君の名前を呼ぶけど
来てくれなくて
もう二度と同じ冬は来ないと分かってるから
泣きたくて泣きたくて泣きたくて
君と約束した日は一人で過ごした。
時間が止まったまま、大人になって
君は永遠に止まったまま。
私だけが大人になって
君の背さえ追い越して
ねえ、ねえ、
追いかけても触れられないの。
枯らしたはずの涙さえ
また出てきてしまうの不思議ね。
一人のケーキは味なんてしなくて
ただ涙のしょっぱさが
私の視界を歪めるの。
この朝の温度を忘れたくなくて
後ろを振り返るけど
君は居なくて
また君がいない日々が始まって
終わっていくの。
時間が止まったまま。
いつもどおり朝起きて
君がいなくて悲しくて
いってきますなんて
誰もいない部屋に呟いて
ねえ、ねえ、
私だけが大人になってく。
ねえ、置いていかないでよ
ねえ、迎えに来てよ
ねえ、何のために生きていけばいいの
ねえ、ねえ、ねえ
この朝の温度を忘れたくなくて
それでも、きっと忘れてくの。
この朝の温度を
忘れてくの。
あの日の君はどんな顔してたっけ。
ねえ、忘れたくない。
恋。超短編集 由良 @sirayuki000
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