第26話 A walk in Hanoi at twilight(夕暮れ散歩)
A walk in Hanoi at twilight(夕暮れ散歩)
先ほどのカフェを出てタンロン遺跡の周りを歩きながら、ホアンキエム湖を目指していく。僕と山田が歩き始めて間もなく、ベトナム人の老人から話しかけられた。
老人「おにいちゃんたち、どこへ行くんだい?日本人?」
僕「そうですね。日本からハノイへ来ています。今からホアンキエム湖へ向かっていくんですけどね。ここからどう行けばいいですか?」
老人「この道を真直ぐ進むと、ドンスアン市場の通りに到着する。その通りに着いたら左手にどんどん進むとホアンキエム湖へ到着するよ。今晩、夜市が開かれる通りなんだけどね。その通りからは、ホアンキエム湖は近いからハノイの夜市も寄ってみるといいよ。夜市は楽しいからね。」
山田「実は昨晩、夜市には行きました。今晩もあるんですね。ぜひ今晩も行ってみまたいと思います。ありがとうございます。」
僕「おじいちゃん、いろいろとご親切にありがとうございます。」
僕と山田は、その老人へ道を教えていただいたお礼を言い、言われた通り道を進んでいった。タンロン遺跡の対面には、軍の官僚の施設のようなものがあった。ちょうど、ホアンジエウ通り沿いにあった。門には厳重に軍人が警護していた。
山田「先ほどの親切なおじいちゃんから、殺気を感じたんですけど。酒井さんは何かを感じました?」
僕「僕もあのおじいちゃんの目の奥に殺気を感じたんだよね。親切そうな笑顔だったんだけど、その笑顔の奥に陰の気を感じたよ。」
山田「俺は、あのおじいちゃんを見ていると、後ろに黒いモヤを背負っているのを感じましたよ。」
僕「僕は、あの老人の左手に小さな男の子が手を握っているのを感じました。その男の子は、現在の魂ではなく、50年ぐらい程度の昔の魂と感じ取れましたよ。」
山田「でも、あのおじいちゃんは人のよさそうな方でしたね。」
僕「人は悪くないんだけどね。後ろについている影が悪い影響を、あの老人へ与えているね。人生には、いろいろありますからね。」
そんな会話をしながらホアンジエウ通りを進んで行くと、途中十字路に突き当たる。突き当たった通りのグエンタイホック通りである。その通りを左へ進んだ。間もなくするとイスラエル大使館が見えた。イスラエル大使館を背にして、トンドゥックタン通りへ入りひたすら進んでいった。路地を右往左往しながらホアンキエム湖へ向かって僕と山田は歩いた。
通りの両サイドには、雑貨店が立ちならんでいる。その中にLEGOの店が目に入ってきた。LEGOの商品は、国によって若干特徴がある商品があるので、僕は山田を誘って店へ立ち寄った。
僕「山田君、このLEGOの店に立ち寄ってもいいですか。」
山田「もちろんです。ベトナムにもLEGOの店があるんですね。日本のLEGOと商品が違うんですかね。ベトナム限定商品なんかありそうですね。」
僕「実は、国によってLEGOの商品に若干相違があるんですよ。LEGOのブロックの中に入っている人形の顔が、若干違ってくるんですよ。」
山田「そうなんですか!限定品なんかあれば、俺、買っちゃいますよ。日本で手に入らないのっていいじゃないですか。」
僕「僕もですよ。限定品かなにか面白い商品があればいいですね。」
結局、入ったLEGOの店では、残念ながら目新しいものはなかった。
通りに沿って僕と山田が歩いていると、建物はハノイっていうよりは、ヨーロッパのような建物が多い。看板などはベトナム語で表記されているから、看板に目をやるとベトナムにいると感じ取れる。
路上は、学校帰りの子供たちを迎えに来ている親のバイクでごった返して入る。どの国も自分の子供には、親たちは甘くなってしまうんだなぁっと思い、僕はその景色を眺めていた。山田もハノイの雰囲気を感じ取りながら一緒に歩いている。僕は山田に対してなんだか、他人という感情ではなく、なんだか魂でつながっているような不思議なインスピレーションを改めて感じ取った。
山田「酒井さん。ハノイの街の風景ってやはり、フランスの建築の色が多く残っていますよね。初日に行ったハノイ大教会もですけどね。この建物もアジアっていう感じよりは、ヨーロッパの臭いが醸し出されていますもんね。」
僕「そうだよね。建物だけを見ているとヨーロッパの街を歩いている感じだけど、看板を見ると、ベトナムにいるんだなぁって思うよね。」
しばらく僕と山田の二人は、ホアンキエム湖へ向かって並んで歩いていた。先ほどのLEGOの店から歩いている途中、スーパーが目についた。スーパーの店名はベトナム語で書かれており、何と書いてあるのか二人には全く分からなかった。
僕「山田君、このスーパーに寄ってもいいですか。」
山田「寄ってみましょうよ。何か面白い物があるかもしれませんね。地元のスーパーならではのものってあるんですかね。」
僕「そうですね。地元のスーパーって値段も安いけど、何だかハノイの日常感を感じられるからね。」
そのスーパーは、東河門近くのハンチエウ通りとチャンニャットズアット通りに突き当たる道沿いの角にあった。並びにフルーツショップもあった。スーパーの中は冷房が効いていて涼しかった。日本で売っていないお菓子などがかなり安く売っていたので、お土産用に大人買いをしてしまった。山田も同じようお菓子を大人買いしていた。
山田「酒井さん、また、荷物が増えちゃいましたね。俺、お菓子を大人買いしちゃいました。」
僕「僕もですよ。お菓子を大人買いですよ。荷物が増えちゃったんですが、お菓子なのであまり重くないですよね。かさばりはありますけど。」
買い物をすませた二人はまた歩き出し、目的地のホアンキエム湖へ向かった。
スーパーからはハンブオム通りやターヒエン通り、ルオンゴックイエン通りなどを彷徨いながら30分程度歩き、ようやくホアンキエム湖へ到着した。
時間的にも夕食をとるのにちょうどいい時間になっていた。時計を見ると18:00を回ったところだった。
山田「ようやくホアンキエム湖へ到着しましたね。タンロン遺跡からの散歩道もなかなか良かったですね。いろいろな通りを寄り道散歩しながらって楽しいですね。通りによって見る景色もかなり違ってきますよね。途中、迷ったりもしましたが、それはそれで俺は楽しかったですよ。」
僕「ハノイの日常生活を感じ取りながらの散歩、よかったですね。途中、お土産もゲットできましたしね。カフェも結構いろんなところにあったよね。日本人以外の観光客も結構いましたよね。」
山田「そうですね。俺、歩き疲れてお腹すいちゃいましたよ。今日は、このまま俺の行きたい店へはいってもいいですか。」
僕「いいですよ。僕もお腹すいちゃいましたからね。早速、山田君の気になったお店へ行きましょう。楽しみです。」
おそらく、山田が気になった店は、僕も気になっていたあの店ではと直感した。ホアンキエム湖のロータリーの角にある8F建てぐらいの建物の屋上の店が、僕は気になっていた。
山田「酒井さん、僕が行ってみたいみたい店は、このロータリー角にあるあのビルの8Fのお店です。おそらく、ビルの屋上のカフェテラス風のなっていると思うんですけど。いかがですか。」
僕「山田君。実はその店、僕も行ってみたいと思っていた店なんですよ。なんだか偶然というか、気が合うというか、僕と山田君の感性が一緒ってことが、再度確認できましたよ。」
山田「まじですか。俺、超絶うれしいんですけど。酒井さんと一緒のことを考えているなんて。」
僕「同じ感覚を思っていますね。なかなか、僕と一緒の感性を持っている人っていないんで、そう考えると山田君はレアものですよ。」
山田「まじですか。ちょっとは俺、酒井さんへ近づけたって感じですかね。」
僕「近づけたなんて。もともと山田君が持っていた感性と、僕の感性があっていたってことだけですよ。似通った二人がひょんなことから、一緒に行動し、お互いの感性が刺激し合って磨かれてきたって感じですよ。そんなに感激されちゃうと、僕もなんだか少々気恥ずかしくなってきちゃいますよ。」
山田「じゃ、決定ですね。今晩はこの店にしましょう。夜空を見ながら、夜風にあたりながら、食事をとるのって、なんだかおしゃれですね。それに異国の地ハノイで。」
僕「異国のハノイで。オープンカフェテラスで。ディナーなんて、すごくおしゃれでいいですね。お店も8Fだから涼しくていいですよね、きっと。」
と、二人はたわいのない会話をしながら、ビルへ入っていった。
そのビルは、丁度、ディティエンホアン通りとカウゴー通りの交差点にあった。僕たちはビルの1Fのロビーに入った。入口の対面にエレベーターがあった。エレベーターに乗り、最上階の7Fのボタンを押し降りる階を指定した。でも、この建物は8Fだったと思った。僕と山田は、7Fでエレベーターを降りた。そこは最上階ではなく最上階はやはり8Fであった。不思議なつくりのビルだった。通常、エレベーターを作るのであれば、最上階までは作るのではとおもう。ということは、8Fは増築されって印象を持った。この建物は大丈夫かよって思ってしまった。8Fまでは階段を登り到着した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます