第23話 Move by trouble taxi(トラブルタクシーで移動)

ドンスアン通りのロータリーには、タクシーの台数はかなり路上に止まっていたり、客を探しながら流して走行していた。いろいろなタクシー会社の車体が入り混じり走行している。


昨晩、地図で確認したところドンスアン市場からタンロン遺跡までは、おおよそ車で15分ぐらいしかかからないようだった。歩くと少々距離があるかなって感じだ。


時間も昼近くなっているから、陽もかなり照り始めてきた。歩きよりタクシーって感じだった。道路のアスファルトから熱気が湯気のように立っている。いよいよこれから東南アジアの気温になるといった感じだ。それにお互い荷物も持っていたので。ガイドのファンさんに言われた赤いタクシーなら割と安心できるといわれていたので探した。


僕と山田の側を何台かのタクシーが通過していく。その安全と思われるタクシーが通過していく。僕と山田は追って、そのタクシーを止めた。タクシーに乗り込み、一安心と思いきや、まずは行き先を伝えるのだが、英語は、いまいち通じないようだ。


タクシーが発車するその前にメーターが動いているのか、僕は確認をした。問題なく動いている。僕は一安心と思っていた。タクシーの運転手は、少々こわもての人相の悪い中年男性だった。


市場前の混雑している道路をタクシーが動き出し、まもなくすると鉄橋の下と通過していった。そのあたりからすごい勢いでメーターが加算されていった。ドンスアン市場からタンロン遺跡までのルートは、ドンスアン通りからハンザイ通りへ向かって進んだ。途中線路の下を通る。線路の下を通過すると右手へ曲がり、ファンディンフン通りへ向かった。さらにその通りを左へ曲がるとリーナムデー通りに到着する。


このルートのはずだが、僕はハノイの道を熟知していないから、遠回りされていてもわからない。嫌な予感がしつつ、タクシーは走行していく。


僕と山田は二人してびっくりした。というのは、タクシーのメーターに対して驚いたのだ。


山田「酒井さん、このメーター、変じゃないですか?こんなに勢いよくメーターが動くなんて日本ではありえないですよ。絶対、メーターに何か小細工していますよ。」


僕「僕もそう思うよ。」

お互いかなり警戒し始めていた。そうこうしているうちにタンロン遺跡へ到着した。ドンスアン市場から車で15分程度のところだった。にもかかわらず、請求された金額が日本円5000円程度を要求された。


僕は、タクシーの運転手に英語でクレームを言った。こんな距離でこの値段は高すぎる。正しい料金を教えて下さいと伝えた。


僕はかなりむかついた。観光客だから二度と会うこともないだろうからって、こんなひどい対応をされると、非常に腹立たしくなる。ドライバーは僕の質問に対し何も回答がなかった。


後々考ええると僕が英語で言っていたので、ドライバーは理解できていなかったのかもしれない。とりあえず10分の1の料金を支払い、僕と山田はタクシーから降りた。


確かにガイドのファンさんが、同じベトナム人でもタクシーでは、料金でだまされたりすることが多いと言っていたと思い出した。まさに、僕たちが乗車したタクシーでも同じことが起こった。なお、ガイドのファンさんが割と安全といっていたタクシーでもだ。


ここが日本と違うところでもあるが、よくよく考えると日本でもわざと遠回りするタクシードライバーもいるので、どの国でも同じなんだぁって感じた。でも、さすがに日本ではメーターの小細工はしないけれども。


山田「酒井さん、ありがとうございます。俺、一人だったら、絶対言い値で支払っていましたよ。」


僕「ああいう小細工は、ホント許せないんだよね。観光客だからっていって適当な対応されるのは。あの料金はありえないでしょう。支払った金額でも、ハノイでは高いぐらいですよ。」


僕「まぁ、これも旅の思い出ですね。海外旅行では、この手のトラブルはちょいちょいありますからね。山田君も気を付けてくださいね。」


山田「そうですね。今回は酒井さんと一緒で、日中でよかったですよね。夜だったら、いくら俺たちが男性だからって言っても、ちょっと怖いですね。」


僕「その通り。男性だからってホント油断できないからね。それはそうと、ここがタンロン遺跡俗にいうベトナム城跡みたいです。何だか遺跡という印象は感じ取れないですね。遺跡というよりはだだっ広い公園って感じだよね。じゃ、入りましょうか。」


僕は後ろを振り返ってみたが、タクシードライバーは僕と山田を追ってこなかった。ということは、ドライバーも故意的にメーターを小細工していたと認めていたってことかと僕は感じた。なんだかムカムカした。


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