腕が突然ポロリと取れた。


取れても全然痛くはなかった。

その様はまるで

もう要らなくなったからと

腕自身から取れたみたいで

私は寂しくなった。


腕はただの腕だ。

私自身ではない。

たとえ私を構成していたものだったとしても

決して私自身ではないのだ。


この腕で掴んだものも

掻きむしった跡だって

この腕で行われたその残滓が

腕に残っていても

それは私自身ではないのだ。



鏡に写る私を見た。

その私は私であったけれど

どこを持って私と言うのかは

ついぞ分からなかった。


片腕を失った私は

昨日までの私と

いったい何が違うのだろうか。


昨日よりも体積を失った私は

果たして同じ私と言えるのだろうか。

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