第12話 闘士vs弓聖(2)

シュン!

とユリアが空高く矢を放ち、

シュバババババババ!

と雨の如く矢が降り注ぐが、


岩壁結界フェルスワンド・バリエール!」

リージェンが危険を感知し、地面を殴ると魔方陣が現れ、シュルタートンネルのような、岩の半ドームが生成され、矢の雨から リージェンを守る。


「あの子、土属性の魔法を使えるの!」

とユリアが驚いていると、


シュンッ!バキッ!

と何かが枝に当たり折れる。


「え?今のって、石礫?まさか、彼処から投げてきたの!僕でも無理なのに、どういう体してんの!」

とユリアが再度驚いていると、


シュンッシュンッシュンッ!バキッバキッバキッ!

と今度は石礫が三つ飛んで来て、ユリアの近くの枝に当たり、折れる。


「もしかして、段々捕捉されている!このままじゃ、やばい。」

とユリアがそう言って、また次から次に木を飛び移り、


「此処ら辺なら大丈夫。これは取って置きだけど、時間を掛け過ぎちゃったから、早くケンタの援護に行かなきゃ。だから、遠慮なく使わせて貰うよ!」

とユリアは鏃が捻れた一本の矢を取り出し、弓矢を構えると、前方に魔法陣が現れる。


「喰らえ!旋風破矢フウォールウィンド・バスターアロー!」

とユリアが矢を放ち、矢が魔法陣に通り過ぎると、


ギュイーン!ズドンッズドンッズドンッ!バキッバキッバキッ!

と止まることなく、木を次々に貫通し、抉りながら飛んで行き、

森を抜け、草原を猛スピードで突っ切り、


そして、


バキンッ!

とリージェンの籠手に当たり、あっさりと折れる。


「流石オリハルコン製、この籠手じゃなかったら危なかった」

とリージェンはそう言った後、


瞬間移動アウゲンブリック・ヴァンデルン

と言うと其処から一瞬で姿を消し、ユリアの背後に来て、


バシッ


「う!」

背後に来たリージェンがユリアの首筋に軽く手刀し、気絶させる。


「ジーク様は勇者や剣姫と聖女以上の事はこっちに任せると言っていたし。

流石に敵とはいえ、エルフを殺すと他のエルフが黙ってないだろうしね」

とリージェンは気絶したユリアを担ぎ、エメラルド色の魔法石を取り出し、


座標指定コーディネートデザイネイショーン紅玉ルビー

門よ、開けテレポーテーション

とリージェンがそう唱えと、足元に緑色の魔方陣が現れ、リージェンはユリアを担いだまま、ジークヴェルトの下に戻るのだった。

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