第9話 帝国軍vs王国軍

此処は中央砦から少し離れた丘の上、そこにジークヴェルト率いる黒龍隊の面々と

将軍ゼファーが率いる最新鋭兵器"銃剣"を装備した突撃歩兵シュートス・トゥルッペン1000人の帝国軍本隊がおり、その前に赤と金を基調とした馬鎧プフェールト・パンツァーを装備した2mの黒馬に乗った皇帝ヴェオールと白銀の馬鎧を装備した2mの黒馬に乗ったジークヴェルトがおり、その数m先に相手を舐めているとしか言えない王宮騎士団300人、歩兵100人、騎兵100騎の総勢僅か500の王国軍が進軍しているのを見て、ヴェオールはジークヴェルトに尋ねる。


「ジークヴェルトよ、これは如何いう事だ。彼奴等はたった500人で我等を倒そうと思っておるのか?」

「多分、そうでしょうね。何せあっちには王国最強と呼ばれる300人の王宮騎士ロイヤルナイトと、未だに戦場に着ていませんが、勇者パーティも居るんですか。」

ジークヴェルトは双眼鏡で王国軍を見てながら言うと、それを聞いたヴェオールはYため息を吐きながら、

「全く、慢心するのも大概にして欲しいものだ」

「ええ、全くです。十全に準備をしたこちらの事も考えて欲しいものです」

「さて、ジークヴェルト」

「はっ!突撃歩兵隊は前出て、奴等が射程距離に入ったら何時でも撃てる準備をしておけ!黒龍隊はそのまま待機だ!」

2人は呆れるも、気を取り直しヴェオールはジークヴェルトにアイコンタクトをし、それを理解したジークヴェルトは全体に指示を出し、突撃歩兵隊が前に出て、

構わえプレツェンティア―ト ダス ゲヴェーア!」

とジークヴェルトが指示すると、突撃歩兵隊は銃剣を構える。


そして、ジークヴェルトが双眼鏡で王国軍が射程距離に入ったのを確認すると、

一斉射撃グライヒツァイティヒシーセン撃てファイアーフライ!」

ジークヴェルトのその指示と同時に、


バンバンバンバンバンバン!

無数の銃声が鳴り響き、

「ぎゃぁぁ!」

「ぐわぁぁ!」

「うわぁぁ!」

と複数の王国軍の悲鳴が戦場に響く。


「な、何だ!奴らは何をした!」

騎士団長は何が起こっているのか分からず困惑しているが、

それでもなおも騎士団や歩兵隊が次々に殺られ、500人居た王国軍は僅か数分で50人まで減り、残った50人の中の30人は負傷し、19人は怯え、最後の1人である騎士団長は未だに困惑している。


それを見ていたジークヴェルトはヴェオールに、

「閣下、敵は1人を除いて殆どが負傷兵、残りは怯えて完全に戦意喪失しておりますから、これ以上の戦闘は無意味に思いますが、如何いたしましょう?」

「う~む、如何したものか。俺も流石に負傷兵や戦意喪失した奴と戦うのは気が引けるな」

「一層のこと、投降することを勧めてみては如何ですか?流石に奴らも馬鹿じゃないですから、たった50人で1000人を相手にする何て事はしないと思いますから」

「ふむ、そうだな。よし、俺が行こう」

「な!それは危険です!もし、勇者パーティが何処か居て、魔法で閣下を攻撃してきたら、いくら閣下でも致命傷にはならないと思いますが、それでも重傷を負い、勇者パーティが攻めて来たら、流石に閣下を守り切れません」

ジークヴェルトは投降勧告をする事を提案し、ヴェオールはそれを了承して自らが勧告しに行くというが、ジークヴェルトはそれは危険だというと、

「うむ、そうか。ならジークヴェルト、黒龍隊と共に騎士団長に下に行き、投降を勧めてこい。後、勇者パーティが居たら、戦い。そして、取り戻して来い!」

「閣下。はい、必ずや成功してみせます!」

そう言うと、ジークヴェルトは黒龍隊の面々と共に騎士団長の下に向かう。


騎士団長の下に着いたジークヴェルトは、

「騎士団長殿、これ以上の戦闘は無意味です。投降して下さい」

といい、それを聞いた騎士団長は、

「ああ、そうだな。我等の負けだ、」

投降しようと騎士団長が言い掛けた時だった、


突然、足元に魔法陣が出現し、ドガーン!と大爆発をする。

ジークヴェルトは咄嗟に後退するが、騎士団長は反応に遅れ悲鳴を上げる事なく爆死する。


「ジーク!大丈夫か!」

と心配しながらシルヴィア達が駆け寄って来る。

「ああ、何とかな。だが、騎士団長は」

とジークヴェルト達は騎士団長が先程まで居た場所を見ると、そこは黒焦げていた。

「な、一体誰がこんな事を」

「こんな事が出来るのは奴しか居ないだろ?」

とジークヴェルトはシルヴィアにそう答えると、


「ふふ、流石はevilsureiyaね」

と突然少女の声が聞こえる。

「これは念話テレパシーか?それも我々にだけ聞こえるようにする範囲限定レンジリミテッドをした」

「ええ、そうよ。帝国皇女シルヴィア・グラハイム様」

「この声は、まさか」

とクローディアがその声の正体に気づき、

扉よ、開けテレポーテーション

言葉と共にジークヴェルト達の目の前に魔法陣が出現し、そこから勇者パーティの面々が現れるのであった。

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