第7話 鬼は豪剣を振り、闘士は拳を放ち、射手は魔を撃つ

帝国と王国の国境に少し近い帝国領土の北の砦。

そこに褐色肌で金髪碧眼の少女と、黒髪黒眼の少女が居る。褐色肌の少女は背丈上の大剣を持ち、漆黒のビキニアーマーを身に纏い、その上に軍服を羽織っている。黒髪の少女は、両腕に黒と金を基調とした籠手を着け、真紅のマントの下にノースリーブの軍服を着ている。

その2人の砦に攻め込んで来た王国軍を圧倒していた。


「ぎゃぁぁぁ!」

「うわぁ!」

「ぐわぁ!」

「ひい!」

「な、何なんだ!この2人の女は!たった2人なのに、もう百人はやられたぞ!」

「くそ、撤退だ!」

王国兵が次々と倒されていき、遂には部隊長が撤退の合図を出して、王国軍は撤退していく。


「何だよ何だよ、王国軍ってのは腰抜け共しか居ないのかよ」

彼女の名はエルザ・シェリマルト。

ジークヴェルトの5人目の妻である。

前は義賊団を率いていたが、オークの群れと遭遇し、彼女以外の仲間は全滅してしまう。

彼女自身は服を破られ、犯されそうだったが、

魔物を討伐しに来たジークヴェルトに助けられる。エルザはジークヴェルトの強さに惚れて、帝国軍に入る。

その後、実力を徐々に上げ、黒龍隊の幹部になり、"豪剣鬼女シュタルク・デーモン"の異名を持つ。

「仕方がないわ、王国軍の主戦力は国王ヴァロルドが率いる王宮騎士団ロイヤルナイツと勇者パーティだけだもの、他は全て雑兵よ」

エルザの次に喋った少女の名は姚 璃真ヤオ・リージェン

ジークヴェルトの4人目の妻である。

彼女は元奴隷で、王国御用達の奴隷商人に連れて行かれるが、奴隷を解放する為に待ち伏せをしていたジークヴェルト率いる黒龍隊に助けられる。

リージェンはその恩を返す為に黒龍隊の雑用係として入る。

その後、彼女の生れ付き持つ体の丈夫さを見込まれ、黒龍隊の幹部になる。

"黒鋼闘女シュヴァルツァ・ケンプファー"の異名を持つ。親しい者からは愛称でリンと呼ばれている。


「な~んだ、つまんないの。あたいは出来れば王宮騎士団と戦ってみてえな、リンもそう思うだろ?」

「エルザの言う通りね、最近雑兵としか戦ってないから、体が鈍ってしまうわ」

エルザとリンが会話していると、


「シェリマルト様!ヤオ様!レイフォード元帥から連絡があり、

中央砦に」

伝令兵が走って着て、2人にジークヴェルトから連絡があったのを伝えると、


「ありがとう、貴方はもう下がって良いわよ」

リージェンは伝令兵に礼を言い、

「は!」

それを聞いた伝令兵は自身も持ち場に戻って行った。

「遂に王国を征伐するのか、わくわくして来たぜ!」

「でも、王国には王宮騎士団、そして勇者パーティが居るから、

一筋縄ではいかないわよ?」

エルザは王国と戦う事に喜ぶが、リンが王国には王宮騎士団や勇者パーティが居るから王国を滅ぶ事は困難だと言う。

「だけど、勇者は弱っちくなってんだろ?」

「ええ、何でも勇者の力に不調が起きているって事よ?」

エルザがリージェンに勇者が弱くなっている事を聞くと、リージェンが勇者の力に不調が起きている事をエルザに言う。

「ふ~ん。でも、あたい達には関係ない事だね。何たって勇者は旦那直々に引導を渡すんだから」

「ええ、ジーク様が勇者を倒し、真の勇者になられるわ。」

エルザは興味無さそうに言い、リージェンはジークヴェルトが勇者を倒して、真の勇者になる事を言う。

「あっ、でも。剣姫とかは強いままか、それだった少しは楽しめそうだな」

エルザが勇者以外のメンバーが強いままだと思い、少し楽しめる事を喜びが、

「剣姫と聖女は捕捉するのよ?元とは言えジーク様の幼馴染と義妹何だから」

リージェンが剣姫のアンナや聖女のメリルは捕らえる事を言うと、

「わ~てるって」

「はぁ。エルザ、貴女は少しやり過ぎる所があるから気を付けなさいよ?」

エルザはお気楽に返事をし、リージェンは少し呆れ気味にエルザにやり過ぎない事を注意する。

「分かってるって」

エルザはリージェンの注意に返事をする。


「さて、それじゃ行きましょうか」

「おう!お前等は此処の守備を頼んだぜ!」

「了解しました!」

リージェンとエルザは守備兵に任せ、ジークヴェルトが居る中央砦に向かう。


同時刻、

西の砦の近くにある森の中。

そこに漆黒の軍服を着た、青いリボンで髪を後ろに結んだ、炎髪灼眼の少女が居る。

その少女は銃剣を持ち、ゴブリンの群れと対峙していた。


その少女が銃剣を構え、引き金を引くと、


バババババババ!

と銃口から魔力弾が無数に打ち出され、


「「「「GAAAAAAAA!!!」」」」

とゴブリンの群れが悲鳴を上げながら、次々と絶命していく、

「ふう、これで最後みたいね。それにしても、最近ゴブリンやオークの襲撃が多発してるみたいだけど、もしかして魔王の一人、狂戦王バーサックロードベルセルグが動いているのか?だとした、報告しなけば。」

彼女の名はネリス・ハーネット。

帝国が開発した魔導銃剣マギ・ゲヴェア・シュヴェルトビスマルクを所持している。この銃は単発・砲撃・乱射の3タイプのモードがあり、彼女が今使用したのは乱射である。彼女は帝国軍人の父を持ち、その関係で帝国軍に入る。その後、黒龍隊の事を聞き、自ら志願し黒龍隊に入る。ジークヴェルトの人柄に惚れ、ジークヴェルトの6人目の妻になる。

"魔弾の射手デア・フライシュッツ"の異名を持つ。


ネリスが天幕に入ると、

「あ、ネリス様!ジーク様より中央砦に集合との連絡がありましたよ」

メイド服を着た、桃髪碧眼のロングヘアの少女が出迎える。

彼女の名はマーベル・コレット。

最近ハーネット家のメイドとなった新米だが、

優れた治癒魔法の持ち主である事から、

給仕係兼癒し手として黒龍隊に入る。

「ありがと、マーベル。」

「はい!」

ネリスがマーベルに礼を言うと、マーベルは元気よく返事をする。

「さて、中央砦に集合か。遂に始めるのですね。」

「ネリス様、始めると何をですか?」

ネリスは連絡を聞くとそう呟き、マーベルはその呟きに対してそう問い掛けると、

「王都攻めと勇者討伐よ」

「え、王都攻めは分かりますけど、勇者討伐って?」

ネリスはその問い掛けにそう答えると、マーベルが勇者を倒すに疑問に思い質問すると、

「そうね。マーベル、貴女は最近私の下に来たから分からないだろから説明するは」

ネリスはマーベルが最近自分の下に来て、日が浅いから何故勇者を倒すのか知らない為、2年前にジークヴェルトに起きた事を語り出すと、


「うう、ぐすん。ジーク様がその様な悲しい目に合っていたとは」

「ええ、私も最初聞いたと勇者に怒りを覚えたは、ジーク様から婚約者と妹を奪うなんて。」

マーベルは泣き出し、ネリスも拳を握り憤怒するが、深呼吸し、一息入れると、

でも と言うと、

「勇者を倒し、王都を攻め、王国を滅ぼせばそれも終わり、ジーク様は婚約者と妹を奪い返せ、閣下の友であった前国王オスカー様の仇討ちも出来る」

ネリスは王国を滅ぼし、勇者を倒す事でジークヴェルトの悲願と前国王オスカーの仇を取れると言うと、

「一石二鳥ですね!」

マーベルはそう言って喜ぶ。

「ふふ、そうだな。さて、愛しの我が君の下に馳せ参じようではないか」

ネリスはそう言い、天幕を片付け、荷馬車に乗せると自身も乗り込み、

「はい!参りましょう!」

マーベルも喜びながら、ネリスに続いて乗り込むと、それを確認したネリスは御者に進むように言うと、御者は手綱を引き、2人は中央砦に向かうのであった。


かくして、帝国最強と呼ばれる"黒龍隊シュヴァルツア・ドラッヘ"の主要メンバーが王国、そして勇者を倒すべく中央砦に集結するのである。

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