第2章 勇者編 英雄への一歩

第6話 侵略する王国軍

2年後


一人の伝令兵が元帥の執務室の前に走って来る。

扉をノックすると、「入れ 」と言う若い男性の声する。その軍人が扉を開けて入る。

そこには黒い軍服を身に纏い、同色の軍帽を被った銀髪の若い男が机に座っている。

その前には真紅と黒を基調としたロングドレスを来た金髪縦ロールの高貴な美女と、漆黒の鎧を身に纏った銀髪の美女が居る。

男の横にも黒い軍服を来た眼鏡を掛けた青髪の美女が居る。


「失礼します、元帥。先程、密偵より王国軍が我が領土に侵侵略行為をして来たとの報告がありました!」

伝令兵が元帥の男にそう伝えると、

「そうか、報告ありがとう。下がって良いぞ」

その元帥の男は伝令兵にそう伝えると、

「は!それでは、失礼します」

伝令兵はそう言って部屋を出る。

「ふむ、やはり王国軍は攻めて来た」

元帥の男が王国が攻めて来たを言うと、

「先日、勇者パーティが魔王の一人、牙狼王ガルムを倒し、王都に戻って来たと報告がありましたから、国王は魔王を倒した勇者パーティが一緒なら帝都を落とせると思ったのでしょう」

メガネを掛けた女性は呆れながらそう言い、

「はぁ、嘆かわしい。魔王の中でも一番弱いと言われる牙狼王ウルフキングを倒した如きで我らが帝国を滅ぼせると思っているとは」

漆黒の鎧を身に纏った女性はそう嘆き、

「まあ、仕方がないのではないでしょうか、国王は勇者がこの世で最強と思っていますから」

高貴な女性も呆れながらそう言うと、

「ふん、思い上がりも良い所だ、此方には真の最強である、evilsureiyaのジークが居るのだからな」

漆黒の鎧を身に纏った女性は元帥の男を見ながらそう言う。


漆黒の鎧を身に纏った女性がジークと呼んだ元帥の男は、2年前に勇者に幼馴染と義妹を寝取られたジークヴェルトである。現在の年齢は18歳で、階級は元帥である。風貌は2年前よりも凛々しくなり、目つきも少し鋭く、最も特徴的なのはその右腕である。

彼の右腕は1年前にとある任務の際にミノタウロスに切り落とされ、帝国の技術者の手により義腕型の対魔装甲"アガートラム"を付けている。実力は最早、帝国の将軍ゼファーを遥かに超えている。

次に喋ったのは三将軍の紅一点のクローディア、元帥となったジークヴェルトの秘書官を務めている。

その次に喋ったのはシルヴィア、帝王ヴェオールの娘にして、この帝国の皇女である。

最後に喋ったのはエレオノーラ、現在はジークヴェルト専属の魔導師である。

三人はジークヴェルトと婚約していてシルヴィアを第一婦人とし、エレオノーラが第二婦人、クローディアが第三婦人である。さらに、第四婦人と第五婦人、第六婦人も居るが、この場には居ず、其々別の任務で国外に言っている。


「好機か、」

ふと、ジークヴェルトが考え込み、そう呟くと、

「何が好機なのだ?」

ジークヴェルトの呟きにシルヴィアが問い、

「勇者を倒し、俺が真の勇者になる好機って事だ」

ジークヴェルトは決意した様に顔を上げ、そう述べる。

「ジークお兄様があの屑勇者を倒して、真の勇者になる。素敵ですわ!」

「ああ、私も賛成だ。あの勇者は最弱魔王の牙狼王でさえも苦戦していたと聞く」

「王国の勇者伝説も終わりが近づいて来ましたね」

エレオノーラがそれに賛同し、シルヴイアとクローディアも同じく賛同する。

「ああ、遂にこの時が来た、勇者や王国に報復する時が、」

ジークヴェルトはそう言うと椅子から立ち上がり、扉の前へ歩き出し、扉を開き、

部屋を出る。3人もその後に付いていく。


「王国よ、絶望しろ。そして、勇者よ俺から大切なものを奪った報いを受けよ!

さぁ、始めるぞ。全てを取り戻す戦いを!」


かくして、ジークヴェルト率いる帝国軍と勇者パーティを率いれた愚かなる王国軍の戦いの幕が上がる。

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