第5話 龍紋剣グラム・フリード

ジークヴェルトは目を覚まし、ベットから起き上がる。

「ん、朝か。」

ジークヴェルトは着替えをしながら、昨晩の夢の中で三女神に伝えられた真実の事を考えていると、

「(それにしても三女神様に出会ってしまうとは、今までは考えられなかったな、

それに勇者の力が不調で弱体化しているとは、この事は閣下に報告した方が良いな)」

扉がノックする音が聞こえ、

「ジークヴェルトお兄様、起きていらっしゃいますか?」

扉の外からエレオノーラの声が聞こえる。

「エレンか今し方、着替えが終わったから。入って来て良いぞ。」

ジークヴェルトは返事をして、それを聞いたエレオノーラは扉を開け、入って来る。

「如何なされましたか、ジークヴェルトお兄様?」

「ん、ああ」

エレンにも伝えた方が良いかもしれないな――と。

ジークヴェルトは考え、

「ああ、エレン。実は」

とエレオノーラに昨晩夢の中で三女神に伝えられた事を話した。

それを聞いたエレオノーラは、

「まあ、三女神様がジークヴェルトお兄様にその様な事を」

「ああ、俺も今も驚いている。それにこの事を閣下に話そうと思っている」

「それは良い事ですわ、帝王様の下に参りましょう」

そういって二人はて玉座の間に向おうと部屋を出た時、

「む、ジークとエレンかおはよう、今日は良い朝だな」

偶然、部屋の前で外を眺めたいたシルヴィアが挨拶をしてきた

「ああ、シルヴィが良い所に居た、実は閣下に伝えたい事があって、今向かうとしていた所だ」

「父上に伝えたい事とな、それは如何様な事だ?」

「ああ、実はな」

とシルヴィアにもエレオノーラ同様に夢の中で三女神に伝えられた真実を伝えると、

「なんと!勇者が弱くなると三女神様がジークの夢の中で言っていたのか」

「ああ、そうだ。この事を閣下に報告しようと思う」

「それは良い、父上もさぞ喜ばれる事だ。私も一緒に行こう」

そうして、三人は玉座の間に向う。


「ふむ、面を上げよジークヴェルト。シルヴィアから聞いたが何やら俺に伝えられた事があるそうだな。」

「は!実は昨晩、夢の中で三女神様とお会いしまして、とある事を伝えられました」

ジークヴェルトは顔を上げ、三女神様と夢の中で会った事を述べると、

エレオノーラとシルヴィアを除いたその場に居た者全員がざわめくが、

ヴェオールが 静まれ と言って全員を黙らせ、喋り出す。

「して、夢の中で三女神はお前さんに何を話したのだ?」

「はい、実は」

ジークヴェルトは2人に話した内容をヴェオール達にも話すと、

「ふはははは!勇者が弱くなるとはな、されはヴァロルドの奴め、我が帝国で勇者が現れると思い、焦って異世界から勇者を召喚したな。これは傑作だ、ふはははは!」

「閣下、少し五月蠅いですよ?」

「む、すまん。だが、これを笑わずにはいられんよ、クローディアよ」

今し方ヴェオールに物怖じせずに物申すしたクローディアと呼ばれる眼鏡を掛けた青髪碧眼の女性は、三将軍の紅一点であり、力は将兵クラスだが、魔法は賢者と並ぶ方であり、

頭も良い為、帝国軍の参謀も務め、歳はジークヴェルトよりも2つ上の18歳という若さで将軍に出世した才女である。


「はぁ。それでジークくん、君はこれから如何したいの?」

クローディアはジークヴェルトにこれからの事を聞くと、

「勇者が弱くなってるとはいえ、勇者には剣姫達が居ますから、独力で鍛えても勝てません」

そう言ってジークヴェルトは少し間を開け、

「ゼファー将軍、俺に稽古を付けて下さい!父を越え、勇者に代わって魔王を倒す為!」

ゼファーの方を向き、頭を下げて言うと、

「ギルヴァード殿より強くなり、勇者の代わりに倒す為にか、ふむ。その心意気、気に入った。だが、俺は厳しいぞ?それでも良いか」

それを聞いたゼファーはジークヴェルトの心意気を気に入り、自ら鍛え上げる事を告げると、

ジークヴェルトは頭を上げ、真っ直ぐ向き、

「はい!どんなに厳しくても付いていきます!」


それを聞いたヴェオールは ふはははは!と 大きく笑い、

「全く、ジークヴェルトお前って奴は。ますます気に入ったぞ、ロベルトよあれを持ってこい」

「は、了解しました」

といいロベルトは玉座の間の後ろにある宝物庫に向い、とある剣を持ってきた。

その剣は龍を模した黄金の鍔を持ち、グリップは青く、グリップエンドは鍔と同じ黄金である。その剣を見たヴェオールとロベルトとジークヴェルトとエレオノーラ以外の者は驚く、何故ならその剣は帝国が誇る宝剣の一つである龍紋剣グラム・フリードであるのだろうから。


「龍紋剣グラム・フリード、まさか閣下その剣をジークヴェルトに授けるのですか?」

ゼファーがヴェオールに問い掛けると、

「ああ、ジークヴェルトにこそ相応しいと思うのだが、駄目か?」

その問い掛けにヴェオールはゼファーそう聞き返すし、

「いえ、賛成です。私もevilsureiyaの彼に相応しいと思い」

ゼファーはヴェオールの意見に賛成する。

「あ、あの皆さんは何をそんなに驚かれているんですか?」

その様子を不思議に見ていたジークヴェルトはヴェオールにそう質問すると、

「この剣は我が帝国の宝の一つなのだ」

ヴェオールがこの剣が帝国の宝の一つだと言う事を伝えると、

ジークヴェルトとエレオノーラは驚き、

「そ、そんなもの受け取れないですよ、閣下!」

ジークヴェルトは驚きながらそう言うが、

「はっはっは、謙遜するなジークヴェルトよ、お前さんはそれ程の価値があるのだ」

ヴェオールが笑いながら、ジークヴェルトを褒め、

「俺にそんな価値が」

ジークヴェルトはまだ驚きを隠せないでいると、

「そうだ、なんせお前さんは千年に一度しか現れん英雄の中の英雄、evilsureiyaなのだらな」

「そうですわ、ジークヴェルトお兄様。私も帝王様の言う通りですわ。」

ヴェオールは更に褒め、それにエレオノーラも賛同する。

「エレン、分かったよ。閣下、その剣を貰い受けます」

ジークヴェルトはそう言うとロベルトから剣を受けると、

ゼファーが近寄って来て、


「さて、ジークヴェルトよ。鍛練に行くぞ」

「了承しました」

ゼファーがジークヴェルトに鍛練しに行く事を伝え、扉に歩き出し、ジークヴェルトも続いて歩き出し、部屋を出ようとした時、


「待て。ジークヴェルトよ、お前さんが元帥に昇進した暁には俺の娘である、シルヴィアをお前さんと結婚させようと思っている」

突然、ヴェオールが2人を静止させ、そう告げると、

「な、父上!」

シルヴィアは驚き、ジークヴェルトとエレオノーラも同じく驚く、

「はっはっは、勿論エレオノーラも一緒だ。それにお前さんの事だ、これから女は増えるだろうし、あの2人の事も諦めきれないのだろう?」

ヴェオールはそう言うと、

「やっぱり閣下は分かっておりましたか」

ジークヴェルトは少し驚くもヴェオールの方を真っ直ぐ向き、その言うと、

「ふむ、俺だけではなく、シルヴィアやゼファー、それにロベルトも気づいておるわ」

「勿論、私もですわ」

ヴェオールは自分だけではなく、シルヴイア達も気づいている事を述べ、エレオノーラも同じく気づいている事を伝えると、

「え、俺ってそんなに分かり易いですか?」

ジークヴェルトはその事に少し驚き、ヴェオールにそう質問すると、

「ふむ、顔には出ていないが、接していれば分かる、だからこそお前さんがevlisureiyaに選ばれたんだろな」

ヴェオールはジークヴェルトにそう言うと、

「確かに俺は2人を見限り事は出来ないんです、16年も一緒に過ごしていたんです、最初は裏切った2人に怒りを覚えましたが、2人を見限ったら父や母に顔向け出来ませんし、それにアンナの父さんや母さんも悲しませてしまいますから」

ジークヴェルトは少し俯くも、顔を上げ真っ直ぐな眼差しでそう言うと、

「ふむ、そうか」

ヴェオールは感心する。

「ジークヴェルトお兄様は昔からそういうお人ですから、私は2人の事は今だに許しておりませんが、ジークヴェルトお兄様が許しているんでしたら、私は何もいいませんわ」

エレオノーラはジークヴェルトが昔から変わらない

事を喜びながら、そう話す。

「ああ、これはジーク自身の事だから本来無関係な私達がどうこう言う筋合いはないからな」

シルヴイアはジークヴェルト自身の事だから、

自分達がああだこうだと言うのは筋違いだと言い、

「ふ、全く大した器だ。私も2年後が楽しみだ、お前の下で戦えるのがな」

「全くその通りですな。クローディアもそう思うだろう」

ゼファーがジークヴェルトの器の大きさに感心し、ロベルトもそれに賛同し、クローディアにも話を振るが、

「…」

クローディアはボケーとしており、

「クローディア?聞いているのかクローディア」

ロベルトが再びクローディアに話を振ると、

「え?は、はい!私も同意見です!」

クローディアは そう言って惚けるが、直ぐに我に返り、慌てて返事をするが、その顔は真っ赤だった、


(ねぇ、シルヴィ。もしかてクローディアさんは)

(ああ。ジークに惚れたな、確実)

(それにしても、あの真面目なクローディアさんがね)

(それは仕方ないのではないか?普通ならあんな事をされた怒ったりするものだが、ジークはあの2人を恨む所か勇者から2人を取り戻そうと思っているからな)

(ええ、でも勇者は物凄く恨んでいましたわ)

(それも仕方ないのではないのか?勇者はあの2人をジークから奪った者、つまりは元凶なのだからな)

(ええ、そうですまね。勇者に対しては私も許しませんわ)

(ふふ、そうだな。)

その様子を見ていたエレオノーラとシルヴィアは小声でそう話していた。



「さて、ジークヴェルト。稽古に行くぞ」

「了解しました、ゼファー将軍」

ゼファーは再びジークヴェルトに鍛練しに行くと伝える、再び歩き出し、ジークヴェルトも再び歩き出し、部屋を出て、鍛錬所に向かう。


ジークヴェルトはゼファーの下で鍛錬することになる。

そして2年後、ジークヴェルトは帝国の英雄と呼ばれる事になるの。


第1章 運命との出会い fin

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