第4話 夢の中での三女神との出会い

ジークヴェルトはゼファーとの手合わせを終え、自室のベットに寝ていると、


「ト、ジークヴェルト。起きなさい、ジークヴェルト」

誰かがジークヴェルトを呼ぶ声が聞こえ、ジークヴェルトが目を覚ますと、

そこはさっきまで自分が寝ていた部屋ではなく、辺りが真っ白な空間であった


「こ、此処はいったい何処だ?それにさっきの声はいったい」

ジークヴェルトは不思議に思っていると、

「ジークヴェルト、後ろです」

背後から女性の声が聞こえ、ジークヴェルトが振り向くと、そこにはキトンの上にワンショルダーの青いヒマティオンを着た、銀髪虹瞳の神秘的な女性と、胸元が大きく開いたノースリーブのドレスを着た、金髪碧眼の妖艷な女性、それに金色のドレスアーマーを身に纏った、金髪青眼の凛々しい女性が立っていた。


「貴女達は?それに此処は何処ですか?」

ジークヴェルトがそう問い掛けると、


「私の名はユースティティア、またの名をレディ・ジャスティス、正義を司る女神です。」

金髪虹眼の女性ユースティティアがそう名乗り、

「え、ユースティティアって、三女神の一人」

ジークヴェルトがその事に驚きながら言うと、

「そうよ。そして、あたしの名はアプロディーテ、愛を司る女神よ」

「そして、私はヴィクトリア、勝利を司る女神だ」

アプロディーテがジークヴェルトの問い掛けに答え、自分も女神である事を告げる。

ヴィクトリアも堂々と名乗り、アプロディーテに続いて女神である事を告げる。


「あ、あのアプロディーテ様とヴィクトリア様、それにユースティティア様が自分に何の御用でしょうか?」

ジークヴェルトはおずおずと質問すると、

「貴方に真実を伝える為に貴方の夢に干渉し、こうして話し合う場を作ったのです」

ユースティティアは微笑みながら、そう伝えると、

「え、真実ですか?」

ジークヴェルトがそう聞き返すと、

「ええ、そうよ。実はね、王国が召喚した勇者は偽物なのよ」

「え!偽物って如何いう事です?」

アプロディーテは平然と勇者が偽物と告げると、

ジークヴェルトがその言葉に驚愕する。

「ああ。本来なら勇者は魔王が現れたら自動的にこの世界にも現れるのだ」

ヴィクトリアがそう答え、

「で、でも王国は異世界から勇者を召喚しましたけど」

「ええ、確かに王国は勇者を異世界から呼びましたが、それがいけないのです。

何故ならその勇者は日が経つ程に劣化、つまりは弱体化してしまうのです」

「え、勇者が弱くなるって如何いう事ですか?」

ユースティティアが勇者が少しずつ弱くなつている事を告げると、ジークヴェルトが驚きながら質問すると、

「如何もこうも、本来現れる勇者の代わりに異世界から勇者を召喚してしまった為、勇者の力に不調が生じて、弱くなってしまったの。まあ、それでも弱体化は少しづつだから、まだ強いけどね」

「勇者の力は多分2年後には普通の戦士でも勝てる程まで弱くなっている」

アプロディーテが勇者の力に不調が起きている事を伝え、それに付け加える様にヴィクトリアが言うと、

「はは、マジかよ。勇者が日が経つ程に弱くなるなんて。でも、それじゃ、誰が魔王を倒すんですか?」

ジークヴェルトが唖然としながら言うと、

「それは貴方です、ジークヴェルト」

「え、俺ですか?」

ユースティティアがそう言うと、ジークヴェルトは

キョトンとしながら聞き返す。

「ええ、evilsureiyaである貴方以外務まらないもの」

「ああ。何たって君は千年に一度現れる英雄なのだからな」

アプロディーテがそう言うと、ヴィクトリアも賛同する。

「ジークヴェルト、貴方は人類の本当の希望であるのです、魔王討伐をやってくれますよね」

ユースティティアがそう言うと、

「はい、分かりました。このジークヴェルト・レイフォード、三女神様から受けた使命を必ず成し得てみせます!」

ジークヴェルトは直立し右手を胸の前に構えながら、そう答えると、そ三人は満足そうに微笑む。


「それでは、ジークヴェルト貴方を目覚めさせます」

ユースティティアがそう言うと、右手をジークヴェルトに翳すと、ジークヴェルトの体が段々消え始め、そして完全に姿が消えた。


「ユースティティア姉様、アプロディーテ姉様、ジ彼は大丈夫でしょうか?」

「ええ、心配いらないは。何たって消える前に私達の加護を与えたから、そうでしょう姉さん?」

「ええ、私達の加護を与えましたから」

ジークヴェルト、私達はいつまでも貴方を見守っていますよ、愛しの英雄様――と。

ユースティティアは心の中で思いながら、2人と共に、それを見届けると、


神界の門よ、開けパァール・アペルタ・ポルタ

とユースティティアが唱えると、扉が現れ、三人はその扉を潜り、神殿に戻る。


かくして、ジークヴェルトは三女神の加護を与えらるが、それを知るのはもう少し先である。

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