第3話 vs将軍ゼファー 実感する強者との差

ジークヴェルトは目の前に居る顔に十字傷がある、漆黒の鎧を身に纏った、茶髪のオールバックで黒い瞳をした中年の男と手合わせをする為に対峙していた。


「(さて、ギルヴァード殿の子である、ジークヴェルトの実力は如何程か)準備は良いか、ジークヴェルトよ」

彼の名はゼファー・グレイヴ。

帝国が誇る三将軍の一人であり、その実力は剣姫を凌駕すると言われている。

ゼファーもヴェオール同様、ジークヴェルトの父ギルヴァードとは知り合いであり、彼とはライバル関係でもあった。

「ええ、はっきり言って三将軍の一人である貴方に勝てるとは思いませんが、

今自分が出せる全力で戦います!」

ジークヴェルトはそう言うと、2人は木剣を構える。

それを確認した黒い軍服を着た、白髪のショートカットで碧い瞳をした髭が生えた老年の男が前に出て、


「此度の腕試しの審判は三将軍の一人、この私が受け持つ。ルールは簡単どちらかが戦闘不能になるか、降参したら負けとする」

彼の名はロベルト・イェーガー。

帝国内では最年長であり、ヴェオールの父エドウィン・グラハイムの代から帝国軍に所属していた古参の軍人である。

ゼファーと同じ三将軍の一人であり、実力はゼファーには劣る。それでも剣姫を凌駕する実力を誇る。彼もジークヴェルトの父ギルヴァードとは知り合いである。


「始め!」

ロベルトは右手を挙げ、その手を一気に下に降し、開始の合図を出すと、


「はぁぁぁぁ!」

ジークヴェルトは一気に間合いを詰め、切り掛かるが、

「ふ、はぁ!」

ゼファーは動じる事無く、ジークヴェルトの攻撃を避け、木剣を横に振る。


「うわぁ!」

両者の模擬剣がぶつかり、ジークヴェルトの模擬剣が弾かれ、

「ふん!」

ゼファーはその一瞬の隙を突き、木剣をジークヴェルトの首筋ギリギリまで振り下ろす。

「う。ま、参りました」

ジークヴェルトは参ったと言うと、

「この勝負、ゼファー将軍の勝ちとする!」

ロベルトはゼファーの勝利を宣言し、手合わせはゼファーの勝利で終わる。

「ジ、ジークヴェルトお兄様が負けた」

「当然だな、英雄の息子とは言っても彼は私達と同じ16歳だ、経験も実力もゼファー将軍よりもかなり劣る」

エレオノーラはジークヴェルトが負けた事に驚き、シルヴィアは当然と言う。


その後、ジークヴェルトはエレオノーラに治療をさせて貰っている中、

「ゼファーよ、あやつは如何だった?」

ヴェオールはゼファーにジークヴェルトの事を尋ねる。

「はい、実力はまだまだですが、鍛えれば今以上に強くなるでしょう」

ゼファーはヴェオールにジークヴェルトはまだなだ強くなるといい、

「ふむ、そうか。あやつは勇者に勝てると思いか?」

「噂に聞くと勇者は豪遊し女遊びをして、一切鍛錬をしていないとの事。

ですから、数年後には勇者を超える程まで強くなっていると思います。」

ヴェオールがゼファーにジークヴェルトが勇者に勝てるかと尋ねると、

ゼファーは勇者を酷評する。

「ふはははは、そうかゼファーお前さんがそう申すなら、絶対じゃな!

それでこそ、シルヴィアを嫁がせる価値があるというものだ」

それを聞いたヴェオールは豪快に笑い、ジークヴェルトがシルヴィアと嫁がせる事を言うと、

「なんと、シルヴィア様と彼を結婚させるのですか」

「ああ、そうだ。そして、この帝国の次期帝王にさせる」

ゼファーは驚き、ヴェオールは自身の座をいつかじジークヴェルトに明け渡す事を伝えると、

「ジークヴェルトが次期帝王ですか、それは楽しみですな、彼の下でこの武勇を振るえるのですから」

ゼファーがその事を楽しみだと答える。


「強い、あれが三将軍一と呼ばれた人の実力。俺もあれ程強くなれば、勇者を倒せる(それに、2人も取り戻せる、やっぱり諦めてきれない、それに小父さんと小母さんを悲しませてしまうし、父さんや母さんに顔向け出来ん。だから、勇者を倒し、昔の様に2人と笑い合えるするんだ!)」

その後、ジークヴェルトには自室に戻り、ベットに入り、さっきの事を思い出し、

新たな決意を胸に眠りに付くのであった。

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