天職の儀
正義を司る女神レディ・ジャスティスことユースティティア、
愛を司る女神アプロディーテ、勝利を司る女神ヴィクトリア
この3人の女神は総称して三女神と呼ばれている。
そして、その三女神を信仰するのが、教皇オネストをトップするデルタ教である。
天職の儀は聖堂にある魔法陣の上に立ち、現れたカードに描かれているのが、
自分の職になる。そのカードはいつでも召喚可能である。
今、ジークヴェルト達は聖堂前の列の最後尾に並び、自らの番を待っている。
「もう、そろそろ私達の番だね?」
「そうだな」
「うう、緊張してきた」
アンナが自分達の番が近い事を言うと、ジークヴェルトがそれに返事をする。
メリルは緊張した来たと言うと、
「メリルちゃん、深呼吸深呼吸」
「すー、はー、すー、はー。少し落ち着きました、ありがとうございます、アンナ姉さん」
アンナがメリルに落ち着く様に言い、メリルが深呼吸をし落ち着きを取り戻し、アンナに礼を言う。
「ううん、お礼は良いよ。」
アンナはそれに礼を言い。
それから数分後、3人の番が来て、聖堂の扉を開くと、
「ジークヴェルト・レイフォード、アンナ・ヴェルニカ、メリル・レイフォード
此方に来なさい」
司祭服を来た、白髪の中年の男が3人の名を呼び、自分の下へ来るように指示する。
この男の名はエディルといい、デルタ教の
「2人共、行こうか」
「うん!」
「はい、兄さん!」
ジークヴェルトは2人がそう言うと、2人は元気良く返事をし、
枢機卿の元へと向かう。
「アンナ・ヴェルニカ、この魔法陣の上に立ちなさい」
枢機卿はアンナに魔法陣の上に立てと指示を出す。
「はい!」
アンナは元気良く返事をし、魔法陣の上に移動し立つと、
1枚のカードが現れ、枢機卿がそれを手に取ると、
「どれどれ?なっ!剣姫だと!?」
枢機卿はカードを確認すると、アンナが剣姫である事に驚く。
そのカードには、白銀の鎧を身に纏った、金髪の少女が描かれていた。
それは紛れもなく剣姫である事を示しており、
剣姫とは剣士と勇者の複合職であり、レア中のレア職でもある。
「えっ、剣姫って」
「アンナが剣姫だと驚いた」
「アンナ姉さん、凄いです」
アンナは状況を理解できずきょとんとし、ジークヴェルトも驚き、
メリルはアンナが剣姫である事を喜ぶ。
「次はメリル・レイフォード、魔法陣の上に立ちなさい」
枢機卿は今度はメリルに魔法陣の上に立てと指示を出す。
「は、はい!」
メリルは緊張した面持ちで魔法陣の上に立つと、アンナ同様目の前にカードに現れ、それを枢機卿が手に取ると、
「なっ!今度は聖女だと!?」
枢機卿はカードを確認すると、今度はメリルが聖女である事に驚く。
そのカードに描かれていたのは、純白のキトンを来た、銀髪の少女であり、
それは聖女である事を示している。
聖女とは剣姫と同じく魔法使いと治癒術師の複合職で、剣姫と同じレア職である。
「に、兄さん。どど、どうしよう!」
「落ち着け、メリル」
「そうだよ、メリルちゃん」
メリルは動揺した面持ちでジークヴェルトに言うと、
ジークヴェルトとアンナは落ち着く様に言う。
「最後にジークヴェルト・レイフォード、魔法陣の上に立ちなさい」
枢機卿は最後にジークヴェルトに魔法陣の上に立てと指示を出す。
「はい」
ジークヴェルトは落ち着いた面持ちで魔法陣の上に立つと、
2人と同じ様にカードが現れ、それを枢機卿が手に取るが、
「何だぁ、これは?分からぬな、仕方ない戦士で良いか」
絵柄を見ても分からない為、枢機卿は仕方がなくジークヴェルトを戦士であると告げ、そのカードをジークヴェルトに手渡す。
ジークヴェルト達はそのカードを見て、アンナがジークヴェルトに尋ねる。
「何だろうね、これ?」
「分からんな」
「でも、良かったじゃないですか、兄さん。戦士で」
「そうだな」
それにジークヴェルトに分からないと答えるが、
メリルが父と同じ戦士で良かったと言い、ジークヴェルトがそれに同意する。
「ふむ、アンナ・ヴェルニカとメリル・レイフォードには教会に来てもらう」
枢機卿はアンナとメリルに教会に来てもらう事を告げると、
「え、どうしてですか?」
「宮廷魔導師が国王様の命で異世界から勇者を召喚し、
その勇者と魔王を倒してもらう為だ」
アンナが何故教会に行くのかを、枢機卿が勇者と共に戦ってもらう為だと告げる。
「そんな、私はジークと離れ離れになるのは嫌です!」
「わ、私もそんなん嫌です!」
アンナとメリルはジークヴェルトと離れ離れになるのが嫌と言うが、
「これは決定事項だ、お主等2人が剣姫と聖女になつた瞬間からな」
枢機卿は2人が剣姫と聖女になった時点で決まっていた事を伝えると、
「そ、そんな」
「に、兄さん」
2人は絶望した面持ちで、ジークヴェルトの方を向くと、
「一度、授かった職は一生そのままだから、俺達にはどうにもならん。
それに俺も離ればなれになるのは、嫌だけど、一生の別れじゃあるまいし」
ジークヴェルトはどうにもならないと半ば諦めながら言うと、
「それはそうだけど」
「じゃあさ、2人共毎日手紙を書いて送ってくれ、それなら俺もアンナ達も寂しくないからさ」
アンナが項垂れながら言うと、ジークヴェルトが2人に寂しくないように毎日手紙を送るように言うと、
「うん、分かった。私、ジークに手紙を書いて送るね!」
「わ、私も兄さんに手紙を書いて送ります!」
2人はそれを了承する、
「じゃあ俺はもう行くよ。2人の事を報告しなきゃいけないからな」
「うん、じゃあね」
「兄さんもお元気で」
「ああ、2人も元気でな」
ジークヴェルトはそう言うと、聖堂の扉を開き、村に帰路する。
2人はその背中が見えなくなるまで涙を流しながら、手を振り続けるのであった。
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