第13話この場所に来た目的とはpart2

サトリ君はルーク様の指示を実行する為、直ぐにまた出ていってしまった。

サトリ君が出ていって直ぐ、ルーク様は私に隣に座るように促した。


「リンを巻き込みたくは無いのだけれど、俺はリンと一緒にいたいから、少しだけ状況を教えておこうね」


眠れないのは…何より辛い。

人間の三大欲の1つでもあるから、その為に私を置いておきたいのは、それなりに理解は出来ていた。

あれでルーク様は優しいから私を道具として扱わずに、人として可能な限り尊重してくれている事も。

あんなにスキンシップが激しい癖に、一線だけは越えない範囲にしてくれていることも、本当は解っていた。


「私は……使用人何ですからでこれ以上の気遣いは無用です、ルーク様」


執事見習いだって、本当はメイドを連れ来る訳にはいかなかったからの苦肉の策でしょう?


「……リン、お願いだから聞いて?」

「……」


答える事が出来ない代わりに態度で示す。

でも、元々身分が違うのだからこの私の行動だって不敬だ。


「有り難う…リンはこの地の事をどの位知っているかな?」


ルーク様は、俯いて座っている私を気遣う様にこちらを伺いながら訪ねてきた。


「国境にあり、この土地の隣は敵国の為、守りの重要な要である。と聞いています」


それしか知らない。屋敷の皆もそれしか教えてくれなかった。


「そうだね……間違いではないよ」


間違いではない。


「…でも、正しくもないみたいですね」


ルーク様は、この土地の有利性の総てを教えてくれる気何だろうか?

防御の要…それだけでも納得させるには十分では無いのだろうか?

私自身がそうであるように、世間一般では、私が言った事が統べてだと思っている。


「…この土地は人が住むには過酷な土地なんだ。それは誰でも知っている事だけど、もうひとつこの土地だから出来る事があるんだ」


「…」


ルーク様はこれで(←失礼)言うべきことはすっぱりと伝えてくる。それにしては随分溜めるなあと思っていたが、それくらいの情報だと言うことか。


「この土地の気候でしか育たない特殊な薬草がある。…その薬草の価値は金に勝る。…人によっては、何に変えても欲しい物なんだ。…だから王家に近い公爵家が代々守ってきたんだよ。こんな辺境な土地が公爵領なのもその為だ。サトリのように優秀な用心や、戦闘の為人員の大半をこの地に配置している事は極秘扱いになっている。まあ王家は勿論知っているが、その他は限られているけどね」


「その薬草の効能を聞いても?」


金に勝るとは以下ほどなのだろうか?

この国にとって、通貨よりも宝石よりも価値があるのが金だ。

それは、最下に暮らしていた私にだって解る。

いや、だからこそ余計に解るのかも知れないが。


「一言で言えば万能薬…かな」

言葉を選んでいるというより、的確は答えを探しながらルーク様は答えた。


「万能薬ですか?」


「そう、万能薬。あらゆる傷や、解っているだけでも数個の病気の特効薬にもなるんだ。…ただ量産できる物ではないから、王家用としてしか使われていないけどね」


「何故……」


この土地に?


「昔、ここは魔女達の修行は場所だったんだ。…偶然が生んだ産物なのか、それとも生み出される白して生み出された物になのか、迄は文献にも記されていない。確かなのは……ここで生息する薬草をこの場所で製法しなければ、この薬は出来ないと言うこと」


「…なぜそれを私に教えてくれるんですか?…魔女の事はタブーだと言うこと位私にだって解るのに」


「…君が必要だから、かな」


「だから、何で!?」


「睡眠以外にも君は俺を救ってくれたんだよ……君は知らないだろうけど」


ルーク様は、ポツポツと自身の事を教えてくれた。

薬は今や、俺しか作れない。

だからこそ、仕事をしない出来損ないでも、爵位剥奪にはならなかった。

自分から廃爵を望んでも聞き入れては貰えなかった。

だけど………薬を作るれば作るほど、身体が毒に犯されていく。

もう夜も眠れぬ程に侵食され、精神的にもボロボロだった頃、リンが屋敷にやって来た。

何故か、リンが触れれば身体の痛みが薄れ、浅黒く変色していた皮膚も少しずつ回復していった。


「まさか…そんな事」


「俺も驚いたし、理由迄は解らないけれど、事実だ………君は今も俺を救ってくれているんだ」


隣で私の手を握りしめながらルーク様は思いの丈伝えてくる。

正直……話し半分と言ったところだけ、嘘ではない様に思う。


「……総てを信じた訳では有りませんが、理由は解りました。…ですが、何故今この地に来なければならなかったのです?」


「王家から、薬を作るように依頼されたのと、どうもこの土地の秘密があろうことか、敵国に漏れたらしい…何処まで情報が漏洩したのか、は目下捜索中だ」


「……何故…私にそんな効果が…?」


「それは…まだ解らないけれど、でも確かなんだ」


「……それで?…いつ薬を作るんですか?まだ此方に到着したばかりだけど、時間に余裕もないのでは?…それにしても、この薬が必要な王族……まさか王太子様では無いですよね?」


おばさんのところで働いている時、少しだけ見聞きしたことがある。

この国の王太子様は病弱で、永くは生きられないと噂が有ること。

だから、あまり表舞台には出てこないのではないか?という噂は強噂だけでも無かったのかも知れない。


「!!!!……驚いたね、どうして解ったの?」


笑っている様で全然笑顔じゃない。

そんな笑顔は始めてみる。


「……噂を聞いたことが有ったので、今の話を聞いて、そうではないか、と」


「……まさかのご名答だよ。…困った子だね………まさか知っていた何て、事と次第では拘束しなければならない程にね」


言わなければ良かった、等とは後の祭りだろう。



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