CHAPTER 6
――すると。
血みどろの3人を見下ろしている魔人の影が、本体を中心に広がって行き――漆黒の沼と化した地表から、人の形を持つ醜悪な魔物の群れが這い出て来た。
2mにも迫る体躯を持つ、その魔物達の全てが――禍々しい紺色の鎧を着込んでいる。
形容するなら、
『ポピピポッ!』
「ロブの言う通り……どいつもこいつもしぶとい、って言いたげなツラしてんなぁ」
「それはお互い様だ。――火弾、結城。仕掛けるぞ」
「……わかった。行こう、皆ッ!」
そして。彼らは再び魔人と――魔人に率いられた鋼鉄食屍鬼達に挑み掛かるべく、身構える。
例え、どれほど勝ち目がなくても――諦めず。
「……ッ!?」
そんな彼らの闘志が、奇跡を呼んだのか。
突如3人の背後に――再び、あの「門」が現れる。
◇
突如出現した、謎の「門」。
あれは、輝矢君が作ったものではない。彼自身も、他の2人と同様に「門」の出現に驚いている。しかもその数は、一つや二つではない。
「なんだこの『門』……誰がッ!?」
「お忘れですかな、テルスレイド殿下。……あなたに転移魔法を教えたのは、この私だということを」
「……!」
数多の「門」を出現させた張本人。それは、広場からやや離れた家屋の上に立つ――囚人服姿の男性だった。
褐色の肌とスキンヘッドの頭、そして屈強な肉体を持つ強面な彼は――ジークロルフ・アイスラー。輝矢君に戦い方を教えた師匠であり、聖騎士団長でもある人だ。
「アイスラー……自力で牢から抜け出していたのか。……だが無駄だ、今の戦いを見ていただろう。どれだけ『門』から異世界人を連れてこようと、ヴァイガイオンには通用せん」
「……ルクファード陛下。ハナ様がおられた地球だけが、異世界ではございません。このジークロルフが、今こそお見せしましょうッ!」
彼は皇帝陛下に啖呵を切ると、輝矢君達に視線を送る。これからさらに、頼れる「スーパーヒーロー」達を召喚する――という
――「門」を開き、異世界に渡る魔法は一度使うだけで、術師にかなりの負荷が掛かる。輝矢君が劣勢なのは、2人を召喚したことも理由の一つなのだ。
もちろん、そんな魔法を1人で複数同時に展開すれば、ジークロルフさんはまともに動けなくなるほどに消耗してしまうだろう。……それでもやる価値はあるのだと、彼の眼差しが叫んでいる。
その覚悟を受け取り――輝矢君は、深く頷いてみせた。自身が仕えるべき主人の承諾を得て、聖騎士団長はその地位に相応しい雄叫びを上げる。
「我が主、テルスレイド殿下のために――今こそ出でよ、異世界の勇者達ッ!」
やがて、彼が両手を翳す瞬間。輝矢君達の後方に出現した「門」の向こうから――「彼ら」は、現れた。
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