第10話 魔法少女vs邪なるもの
俺は
蛇の返り血を浴び、メイド服の襟や袖口の白い部分が赤く染まる。
いや、そもそもレイピアって刺突用の武器ではなかったか。それをこんなに振り回して大丈夫なのか? 折れたりしないのか?
俺の疑問に京が答えてくれた。
(大丈夫だ。その光る刀身は法術の
(そうなんですか。私としては
(そんな訳の分からないアニメ設定など知るか!)
ごもっとも。京の言う通りで、わざわざ通販で購入したこの木刀の意味を知っている人など、学校内では皆無だった。
しかし、この一連の攻撃で三人の女子生徒を捕らえていた大蛇を葬り、
三人の女生徒は、俺の姿を見てそれこそ腰を抜かさんばかりに驚いていた。目を見開き俺を見つめる
(
(わかりました。京様)
俺を睨みつけている大猪。見た目は
「其方が依り代だったとは……ぬかった。糞法術士め」
そして、牛のような大猪も憤っていた。
「マティ様の尻を蹴りつけるとは不遜極まりない。この下郎が」
大猪はマティという名であった。しかし、自らの名に様をつけるとは、不遜極まりないのはお前の方だと思う。
「お下がりください。マティ様。こやつは私が仕留めて見せます」
ならば答えは簡単。
(良い判断だ)
(どうも)
京に褒められた。
俺はレイピアを振り稲妻を放つ。
その稲妻は三体の
流石は上役か。貫禄を見せたのだがそれは命取りだろう。
俺は光り輝くレイピアを
額から血を流しながら後退る
俺が京と一体化した時の、この全身に力が
これが神と一体化するという境地。人として、最高の幸福感なのだと思った。
俺は再びレイピアを振る。そこから放たれる稲妻が三体の
「強い。見た目に騙されるところだった」
「華奢な少女の姿は欺瞞か」
「その光る剣もだ。何という兵装。我等の力を
ぼやきながら後退る三体の
(効いているぞ)
(はい、京様)
(止めだ!)
(了解!)
京の指示に従い、俺はレイピアで切り込んでいく。大振りの剣筋を咄嗟にかわす三体だが、俺はその回避した先を狙った。
俺は後退した
「ぐわああ……このマティ様を屠るとは……」
「な、何という力だ。まさかこれ程とは……」
「見逃して……」
「ダメだ」
俺に懇願するかのような、その悲しげな表情を無視して
再び光り輝く
その光は
(これで全部ですね。京様)
(よくやった。朱人)
(でも、中身は逃げたんですよね)
(そうだな。これに懲りて大人しくしてくれればよいのだが……)
(そうですね)
京の言葉は希望的観測という奴だろう。今後もあんな化け物にちょっかいを掛けられるのは御免こうむりたい。
俺は顔についた返り血を拭い三人の女子生徒の方を見つめた。彼女たちは皆、手にスマホを持って俺の方へ向けていたのだ。
しっかりと撮影しているじゃないか。
「あの魔法少女って」
「ミミ先生だったんだ」
「でも何で
「それはミミ先生が
先ほどまでは恐怖にさいなまれ泣き叫んでいたのが嘘のようだった。三人とも、何か、革新的な秘密を掴んだのだという狂喜にあふれた表情をしていた。
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