第4話【血】Side-A
▼やはり妹は殺すべきだ。
僕は選択した。もう引き返せないが、迷わない。腹を
ーy-y-y-y-yーyーy-y-y-y-yーyーy-y-y-y-yーyーy
午後11時、夜更け。
旧
市が総出を上げて建設したこのテーマパークは、観光地バブルの余波によりわずか2年半の期間を持ち閉館する事となった。僕が
全国の
入り口ゲートを抜けて、そのまま真っ直ぐに進み、目的地であるワンダーキャッスルに到着する。中に入ると、不自然な程に天井が高い大広間になっていた。はじめて来た場所なのに
そして不意に、僕達が這入ってきた扉がバタンと閉まった。一呼吸おいてガチャリと、
「こんばんわ。ご機嫌うるわしゅう、おにいさま。
閉まったドアから振り返るとそこには、
ーy-y-y-y-yーyーy-y-y-y-yーyーy-y-y-y-yーyーy
妹の姿を認識してから、恐らくは数分間ほど記憶が
タカシの怒号と共に飛び
放火魔は黒焦げになっており絶命していた。
強姦魔は身体の至る所から骨が飛び出しピクリとも動いていなかった。
殺人鬼は辛うじて生きていたが、口から
残りの三十指であろう4人の男達は、
一体僕が気絶している間に何が起こったのか。理解がまるで追いつかない。
「あらおにいさまごきげんよう。お早いお目覚めで何よりですわ。気分はいかがですの?」
良い訳ないだろうと吐き出そうとしたが、ここで更に忘れていた事を思い出す。
僕は10年前に妹を雪害事故で亡くしたショックから、言葉を発する事が出来なくなったのだ。
タカシと違って、恐らくマイには手話は通じないだろう。そんな僕の心情をそのまま読み取っているかのように、妹は兄に対してつらつらと言葉を投げかけてきた。
「ごめんなさいね、おにいさま。少し
こいつらは友達でもなんでもない。なんでお前はあんなことをしたんだ。
「あんなこととは、どの・・・・・・あぁ!動画の事ですのね。あれはおにいさまがわたくしをきっと見つけてくれると信じた、メッセージのようなものでして。ネットが発達したこの時代に
だからって、殺す必要はなかっただろ。
「うふふ、おにいさまったら冗談がお上手なのね。
マイはそう言って、左腕を振り
「わたくしはね、おにいさま。あの大雪の日、おにいさまが助けてくれなかった事を酷く嘆いているの。寒さと飢えとで死んでしまう事よりも、もう二度とあなたに会えないと、絶望した。何ガロンもの
ばしゃばしゃと降り注ぐ血の雨を、いつのまにか何処からか取り出した
「そう、これはトリックでもなんでもない。わたくしから他者に信号を送り、強制的に従わせる事のできるチカラ。催眠術の一種とでも言えば分かりやすいかしら」
どうやら、マイはあの事故を
「わたくしはね、悟りましたの。
十中八九、今の妹に僕が何を言おうが、なしのつぶてで聞く耳持たず、取り合ってもらえる可能性は
「姫ぇーえええ!会いたかったよぉ!ずっと会いたかったよおおおお!もう君の姿を視ることも声を聴くことも叶わないけど、もういいよね、散々我慢してきたんだからさぁああ!ここで殺しちゃっても良いよね??
残す片方の目玉と両耳を
「視覚聴覚を自ら断ち、
妹の最後の言葉は彼に届いたかどうかわからない。タカシが奇声をあげ
「また邪魔が入ってしまいましたね。でももうこれでお
右腕の指先から肩にかけて、
「おにいさま。わたくしは
続いて左腕、右脚、左脚と、同様の
「おかえりなさい。さようなら。願うならば、叶うならば、来世にてまたお逢いしましょう」
右眉から上の辺りが破裂する。脳に損傷を負ったせいなのか、三半規管が正常に働かなくなったせいなのか、浮遊感に包まれる。痛みはもう感じなかった。避けられない死の匂いが濃くなった。意識が遠のく。
もう僕は助からないだろう。それは覚悟していたし、問題はない。
ただ、酷く後悔をしているのは妹を救えなかった事だ。
許しは
ただ、
本当に、なんていうか。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
Not Continued...【dEaD eNd !!!】
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