第12話 探偵物語
なんの理由だったかは忘れたんですが、両親が母方の実家に泊まりで行く用事ができました。。
私と弟は雄一のアパートに泊まるように言われましたが、私は今までにないくらいの抵抗をしました。
京子さんは二人目の子どもを妊娠中で実家に帰っているから、雄一ひとりです。
みすみす犯されに行くようなことをどうして親はさせるのか。
父は激怒し、私を殴りました。
殴られても蹴られても、私は泣いて雄一の家には行きたくないと訴えましたが無駄でした。
雄一はいそいそと弟を早く寝かしつけていました。
私はそれを冷たい視線で、そんなに私を犯したいのか?と見ていました。
弟が寝付いた頃、テレビで松田優作の「探偵物語」の第一話が始まりました。
このドラマは予告編で見ていて、なんだかオシャレな感じのドラマだなと思っていたので見たかったんです。
たとえば佐藤我次郎がヴィスコンティの話ばかりしている設定とか、聴診の松田優作がベスパを乗りこなしている感じとか。
中学生でしたが私、その頃既にヴィスコンティの映画は2、3本は見ていたんです。
私はドラマに集中したかったんですけれど、雄一がとなりに来て、私の体をネチネチと触り始めました。
私はテレビに夢中なフリをして、雄一の手から逃げ出しそうとしたんですが、時間稼ぎも20分程度が限度で、ドラマの途中で半ば強引に腕を引っ張られ、弟が寝ている暗い寝室で、いつものように雄一に犯されました。
結局、コトが終わった頃にはドラマも終わっていて、私は後半を見逃してしまいました。
テレビを見逃したこと、両親が雄一に私たちきょうだいを託したことの両方に怒りが爆発して、その夜、私は自殺をするか親を殺すかのどちらかだと思い詰め、朝まで眠れませんでした。
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