第9話 カバ
中学生になった私は満腹中枢が壊れてしまったようでした。
学校帰りにスーパーのフードコートでうどんを食べて、帰宅してポテトチップスを一袋食べて、夕飯をちゃんと食べて、その後も甘いものを食べていました。
これで太るな、と言う方がおかしいですよね。
あっと言う間に体重は60キロに到達しました。
地頭の悪くないデブと言うのが、私の学校での立ち位置のようでした。
こう言うのがいじめやすいんですよね。
私には早速、カバと言うあだ名がつけられ、クラスの男子は私を完全無視しました。
男女並びの机も私のは常に距離を置かれ、私なんかよりもポテンシャルの低いガチャ目の小さな男子にさえ、間違って私の机に自分の鞄が触れたと、穢れたものを払うような仕草をされていました。
問題はあるでしょう。
ですが、私はいじめの主犯格だった3人の男子の名前を書きます。
これはいじめた側はそのことを忘れるけれど、いじめられた側は一生忘れないからです。
佐藤英(すぐる)
太田喜之
星川と言う大柄な男子、下の名前は忘れました。
私はいじめを苦にして自殺を毎日考えていました。
子どもの浅知恵では死に方も分からず、とりあえず家にあった風邪薬を一瓶飲みきってみましたが、そんなもんで死ねるんだったらご家庭の常備薬にはなりませんよね。
リストカットも考えたんですけれど、自力じゃダメなんです。
カッターナイフで浅い傷をつける程度が関の山。
「じゃ、やせていじめられる要素をなくせよ」って話なんですけれど、相変わらずスナック菓子を囓りながら、死に方を考える毎日でした。
自殺を考えていたのはいじめで追い詰められていたのもそうなんですけれど、雄一のこともありました。
その頃、雄一はトヨタ系列の営業職に回っていたので、夏休みになると私が昼間家に一人でいることを知っていたので、毎日私を犯しに来ていたんです。
毎日ですよ、ご苦労さまなことです。
雄一のこともいじめのことも、両親は抑止力にはならないと諦観していたので、親には内緒にしていました。
その頃仲良くしていた不良の女の子と学校をサボって2回ほど「マチ」まで行ったことがあります。
学校は地獄の環境。
学校に行かないってことはなんて気分爽快なんだろうと、ウキウキで次の日程をその子と相談していたんですけれど、私たちは補導こそされませんでしたが、担任の教師が(新卒でクラス間のいじめなんかに気付く神経もないボンクラです)、届け出のない欠席のことを母に報告したんです。
そりゃ、あの母ですから激怒します。
一緒にサボっていたのが不良の子だったと言うのも火に油でした。
私はものすごい剣幕で怒られたので、金属バットがあったら、その場で母を撲殺していたと思います。
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