第6話 伯父がアパートを建てた

私が10歳の頃です、伯父がアパートを建てました。

6戸程度のものですが、そのアパートに管理人代わりに雄一とその恋人が結婚して住むことに決まりました。


雄一に恋人がいたことなんか私は知らなかったし、不思議なことに「私と言うものがありながら」的なおもしろくない感情を最初に抱きました。

愛情でつながっているわけではない私と雄一でしたが、どれだけの精液をお腹に出されて来たことか。

これがいつの間にか共犯者的な執着になっていたのかも知れません。


札幌の人は市街中心部を「マチ」と呼んでいます。

雄一の恋人、京子さんはマチのデパートでアイスクリーム販売をしているそうでした。

ふたりの結婚話は伯父のアパートの建て進み具合に合わせて急ピッチで進みました。

もしかしたらデキ婚だったのかも知れません。


ふたりの結婚話が進んでいる間にも、雄一は毎週私を犯しに来ました。

私たちの間にはまったく会話がないので、結婚話にも私はノータッチでした。

なぜ私たちの長い性関係でまったく会話がなかったかと言うと、言葉を発すると「それ」を私の心が認めてしまうと危惧していたのではないかと思います。

精液で汚れたお腹をティッシュで拭うのと同時に、記憶をすべて消し去るためにも無言を貫くことが私にできる唯一の自衛策だったんでしょう。


雄一はある日結婚式を挙げ、ある日伯父の家を出ました。

私は子どもだったので結婚式には連れて行ってもらえませんでした。

だからそれほど雄一が結婚したことは私の中で大きなできごとではありませんでした。

いずれにしても雄一は、折りを見ては私を犯しに来ていたので、いくら子どもの私でも、「新婚さんなのにこんなことしてていいの?」って若干小バカにした感情を抱いていました。


ここまでの展開は雄一が圧倒的においしい思いをしていますね。

結婚したばかりで、家には新妻が待ち、小学生の愛人(?)とは、やりたい時に避妊なしのセックスができるんです。


私が11歳になった頃に、雄一夫婦に男の子が生まれました。

名前は「一茂」でそれは読売ジャイアンツの長嶋監督の長男からあやかっていただいた名前と聞いて、コイツ、本物のバカなんだ。って思ったのを覚えています。


そしてその冬、私はとうとう初潮を迎えました。

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