第5話 短い夏の海水浴

その頃、雄一と一緒に伯父の家の2階に住んでいた従兄弟の常雄さんが家を出て行きました。

私は理由は分からなかったし、興味もなかったんですけれど、大人になってから分かった事情は、どうも伯父の反対を押し切って連れ子のいる年上女性と駆け落ちをしたようです。


伯父は養子が欲しかったみたいなので、その座には自動的に雄一が座る感じでした。

その気配だけは10歳の私にも理解できていました。

なんだか世の中不公平じゃないの?と私は子どもなりに思いました。

私を犯し続ける雄一が伯父の家を相続するとか、単純にズルいんじゃないかなと思ったんです。


それとこれとはもちろんごっちゃにする問題ではないかも知れませんが、こんな変態が大きな家をもらうとか、分不相応だと私はムッとしていました。


父の実家は厚田村の嶺泊と言う集落にありました。

祖父母は私が生まれた頃には既に亡くなっていて、父の実家と呼べるものはありませんでしたが、伯父や私たち一家、雄一は夏になると毎週のように嶺泊の海岸に海水浴に出かけました。


嶺泊の海岸は岩浜で、ビーチサンダルを履いたままじゃないととても泳げないので私は不満タラタラでした。

砂浜の海の家でカレーライスを食べてみたいのが私の子どもの頃の夢でした。

ただ、牡蠣やウニ、バカ貝と呼んでいたムール貝に似た貝が山のように採れたので、一斗缶にバカ貝をてんこ盛りにして焚き火をしてゆでて食べるのはおいしかったです。


泳ぐ時は浮き輪なんてヤワなものは使いません、うちでは自動車のタイヤのチューブが浮き輪でした。

見た目は悪いんですけれど、機能性は素晴らしく、泳げない私は一日中チューブに捕まって海でプカプカ浮かんでいました。


そんな私の体を雄一が狙わないはずがありません。

私のチューブを誘導するフリをして、水着のクロッチから性器に指を入れ、腰をわしづかみにすると、またセックスです。

家族みんな海岸にいるのに、平然と海中で雄一は私の性器を突き続けました。


その頃には共犯者意識も芽生えていた私は、体の動きで海岸に目が行くと笑顔で手を振ったりと平然とできる子どもになっていました。

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