メイド長
処刑の日が間近になってきた。
滝沢は城下町までやってきて、ある人物を探していた。
情報によると、彼女は週に1度、外出する日があるらしい。
それが、今日なのだ。
このタイミングを逃したら、恐らく次はないだろう。
人物の容姿は銀髪の三つ編みで、メイド服姿、身長は高いほう。
大通りの影から見張っていると、それらしき人物が姿を現した。
……行くか。
彼女の背後に近づき、腰から抜いたナイフをそっと背中に当てる。
「──動かないでください、メイド長」
途端に、動きがぴたりと止まった。
背中から感じ取れる、彼女の動揺している気配。
「あなたには王女殺害幇助の容疑がかかっています。口外されたくなければ、こちらへ──」
そうささやいて、彼女を人通りのない裏路地に誘導した。
「な、なんでしょう……?」
メイド長は青ざめた顔色を浮かべている。
まるで小鹿のように体を震わせながら、こちらの様子をうかがっている。
「まず、こちらの要求を呑んで頂ければ、あなたの罪は抹消されます。言っていることが分かりますね?」
彼女は数秒戸惑った後──静かに頷いた。
これは、脅迫。
だが、彼女を協力者につけなければ、計画は成功しない。
「では、3点ほど要求したいことがあります──」
そして滝沢は、計画の一端を話すことにした。
全てを話すことはできないが、今はそれでいい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます