第17話 女性騎士参上!【オネスト編】


 オネストは元の服装に着替える為に、兵士を隠している草むらに向かっていた。

 ふと話声が聞こえた為、耳を澄ました。

 どこかで聞き覚えのある声だ。


「あいつはどこだ?」


「知らない!」


(この声…フィンか?)


 オネストは咄嗟に草むらの中に息を潜めて、様子を窺う。

 後ろ姿で見えないが、何やら女性に責められている様だ。

 久しぶりに見た、フィンの表情は首を掴まれ、酷く怯え切っている。

 それはオネストが今まで見た事の無い表情だ。


「本当だな?だが、どうして市民達がこんな晩に着の身着のまま街から出ようとしてたんだ?お前は巡回していたんではないのか!?答えろッ!!」


「知りませんっ!!本当に僕は何もっ!」


「こんな事を行うのはアイツオネスト以外考えられんな?見ろ、この手紙…幼馴染である貴様が協力している可能性も十分考えられる、私は昔のでお前が、この国の「兵士」で留まる事を許したんだぞ!?」


 そう言って女性は、地面に手紙を放り投げた。


「……」


「もうよい、お前ら連れていけ!」


 女性はそう言って部下に指示をした。

 フィンは乱暴に手錠を掛けられ連れていかれた。

 その様子にオネストは我慢できなかったのだろう。

 隠れていた、草むらから飛び出し叫んだ。


「待てっ!」


 その声で、皆が振り向く。

 フィンはどうして、という表情でオネストを眺めている。


「フフッ…貴様…居たのか…」

 女性は艶やかな金髪の腰元まであるロングヘアーが振り向いた反動で揺らめく。

 そして顔はかなりの美人だ。

 それに身長は小柄なオネストとほぼ変わらない。

 女性は不敵な笑みでオネストに微笑み掛けている。



「あぁ、『アダリズ』久しぶりだな」 



 お互い冷静に話してはいるが眼光鋭く殺気だっている。

 2人は徐々に徐々に、そして着実に、にじり寄る様に距離を詰めてゆく、まるで互いに獲物を狙う狩人の様に。

 あまりの雰囲気に、フィンを含めたアダリズの部下たちも見入ることしか出来ない。


「あぁ、訓練生以来か?」


「そうだな」


元気か?」


「あぁ、元気だ。常にに居るよ」


「ふふっ…」


 ここで気付いたのか、アダリズの腕章を指差す。


「お前の腕章、『騎士団長』か?」


「あぁ、そうだ」


だな?」


 今まで表情を崩すさなかった『アダリズ』は一瞬だが、不快感を表した。


「…何も知らな癖に…そもそも汚職や不正をしなければ食っていけない状況だった。私の父は実力があっても、出世は出来なかった。平の兵士で私達家族はどう生活しろと言うのだ? 」


「…それで不正にまで手を染めたのか? 」


「食っていく為だ、父は何でもした。おかげで上に行く事が出来た。お前の親父さんも……口を挟まなければに済んだのにな…」


「正そうとして何が悪い!父親は悪くなかった!」


「その、お前らがとして振りかざした正義!

 私達はお前達の様な正義の被害者だ!でさえ食っていってる者が居るという事を忘れるな!お前らは純粋な気持ちで不正を正そうとした、だが私達家族から見たら貴様は家庭を潰そうとしたやつにしか思えない!」


しばらくの間、2人に沈黙が訪れた。

徐々に歩みを進めていたが、今では歩みを辞め、一定の距離で見つめ合っている。





































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