第15話 噂の中の真実
オネストはエミリアの隣に座り話を始めた。
―――端的に言えば俺の父親は”王国の不正”を暴こうとして殺された――――
「俺の父親は元騎士団、だが王国は既に”腐り”切っていた。【賄賂・買収・恐喝・
「…そうだったのか…」
「あぁ…俺が金の為と言っている理由はまた別にある…」
「……」
「父親が殺された後、快活な女性だった母親がショックで体調を崩してしまった。家に籠りきりの生活をしていた。その時、俺は父親の後を継いで騎士団に入っていた。だが、あんな事があってはこれ以上働けない。それに俺自身、腐敗した王国にはもうウンザリだった。俺は家に籠っている母の代わりに生活費を稼ぐ為に騎士団を辞めて、敵国である『帝国』側に行き『傭兵』になった…」
「それで稼いだお金を仕送りに?」
「あぁ、最初はな…?だが、その後母も後を追いかける様に死んでしまった。俺は帝国で傭兵任務中の訃報だった…医師の診断はこうだ…『心労でお亡くなりになられた』俺は身内をすべて無くして天涯孤独になったんだ…」
「そうだったのか…でもどうして傭兵を続けるんだ?」
「さぁな…自分自身、何故だか分からない…だが、たぶん心の中で当初の目標を持ち続ける事によって父の死や母の死を受け入れ様としたく無かったんだろうな…ショックで元気のない母に不自由はさせたくなかった…次第に報酬にこだわっていった。今俺の中に根付いている金に対する貪欲さは…そうだな…『癖』みたいなものだと思う」
「…大丈夫だ、誰もお前を一人になんかにさせない。私が居るじゃないか?」
エミリアはオネストの手を握る。
「えっ!?ちょ!それってプロポーズ!?」
月明かりがお互いの顔を照らしている、不意に視線が合い二人とも顔が紅潮しているのが分かった。
「はっ!?ち、違う!!お前を励まそうとしただけだっ!!(どうしてこいつはこういう時に変な勘違いをするんだっ!)
ごまかす様にエミリアは握っている手を振り払った。
「そうだったのか…」
「いや、どうしてお前は微妙に残念がっているんだ?(普通は残念がる場面ではないだろう…)」
「いや、別に残念がっては…いない…」
オネストは若干口を尖らせて横を向く。
「……(こいつ顔に出ている)」
「でも、ありがとう。少しは話して楽になったよ」
そう言ってエミリアに微笑み掛けた。
「!?う、うん…いや、礼を言われる様な事はしていないぞ?(改まって言われたら恥ずかしいじゃないか)」
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